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J16

メルドラム酸の酸性度の理論的解析-CH酸の酸性度と局在化反応軌道の性質の関係-

○大和田 智彦(東京大学大学院薬学系研究科),中村 聡(東京大学大学院薬学系研究科),平尾 一(東京大学大学院薬学系研究科)

メルドラム酸 (Meldrum's acid)はカルボニル基のα位の酸性に基づくC-H酸であるが、関連化合物に比べ酸性が異常に高いと見なされてきた。本研究では我々が提案したフロンティア軌道(FMO)理論というカノニカル単一軌道では表現できない反応性を表現しうる新しい局在化軌道(反応性軌道)を用い(この新しい局在化空軌道は [反応軌道密度]/[軌道エネルギー] という値を最小にするように定義している)、酸性度をC-H空軌道への塩基電子の非局在化と考え、メルドラム酸の酸性度は決して説明できない異常なもではなく、他のカルボニル型C-H酸も含めて矛盾無く期待できる性質であることが分かった。