筑波大学 復興・再生支援プログラム
「東日本大震災の記憶・記録の共有・継承による地域コミュニティ再生のための情報基盤の構築」

事業の目的と経緯

 1.事業の目的
 2.事業に至る背景
 3.事業の開始
 4.事業への支援・協力

 

 

1.事業の目的

 福島県双葉町役場が保有する東日本大震災関係資料の保全および調査研究事業は、2013年(平成25)に始まりました。
 この事業の目的は、地震、津波、原子力発電所事故を蒙った福島県双葉町の被災地および避難先で作成・収集された、地域の人々やコミュニティの経験にかかわる記憶や記録を保全するとともに、それらの調査研究および利用活用を進めることにあります。
 この事業は、次の3つのことがらに資することをめざしています。

○今なお立入が厳しく制限されている双葉町の方々が、自分たちの生まれ育った、または暮らしてきた町に思いを寄せ、住民同士や国内外の人々とのつながりを確認して、今後の地域コミュニティ再生への足がかりとする。
○今後の地震や噴火などの自然災害の経験から、今後の防災・減災対策の参考や、被災地の人々、自治体、民間ボランティア等における対応への教訓を得る。
○東日本大震災および福島第一原子力発電所事故の被害、避難の実態、復旧へ向けた歩みについて、特に被災自治体の視点から、まだ十分に解明されたとは言い難い地域に即した部分の具体相を解明していく。

 

 

2.事業に至る背景

 この事業が始まった2つの背景を説明します。
(1)茨城史料ネット(茨城文化財・歴史資料救済・保全ネットワーク)の活動
 茨城史料ネットは、茨城県を中心とする東日本大震災の被災地で、歴史資料(古文書等)や震災関係資料の救出・保全に取り組んでいるボランティア団体です。
 2011年(平成23)の3月下旬から、茨城大学の高橋修教授を中心とする茨城県内の有志が活動を始め、同年7月2日に開催された緊急集会を契機に結成されました。事務局は茨城大学人文学部に置かれています。
 被災地における精力的な歴史資料の救出・保全活動が評価され、平成25年(2013)3月には文化庁長官から感謝状を贈呈されました。

 

2011年9月1日 茨城県北茨城市平潟における文化財レスキュー
半壊した土蔵から搬出した資料の確認作業

 

2013年3月29日 文化庁長官感謝状贈呈式
左:高橋修教授(茨城史料ネット代表)

 

 2012年(平成24)7月と11月、茨城史料ネット副代表の白井哲哉(筑波大学准教授:当時)と同事務局(当時)の泉田邦彦(茨城大学大学院生:当時)は、双葉町教育委員会から依頼を受け、双葉町つくば連絡所において、双葉町民を対象とする公民館事業の歴史文化講座で講演を行いました。これをきっかけに両者の交流が始まりました。
 2012年(平成24)12月、白井は当時埼玉県加須市に避難していた双葉町教育委員会の吉野高光氏を訪れ、双葉町への支援について具体的な相談を始めました。そして同年3月、双葉町役場埼玉支所および旧騎西高校避難所(当時)に集まっていた震災関係資料の保全と調査研究について、町教育委員会と連携して取り組む方針を決めました。

 

(2)筑波大学「復興・再生支援プログラム」
 筑波大学は東日本大震災で大きな被害を受けましたが、災害の直後から対策本部を設置して大学機能の復旧に努めました。その一方、2011年5月には「復興・再生支援プログラム」を発足させ、被災自治体との「震災復興へ向けた連携協定」をはじめさまざまな復興支援活動を展開してきました。
 双葉町における震災関係資料の保全と調査研究事業は、平成25~26年度「復興・再生支援プログラム」として採択されて財政支援を受けました。活動テーマは「東日本大震災の記憶・記録の共有・継承による地域コミュニティ再生のための情報基盤の構築」です。
 筑波大学「復興・再生支援プログラム」の採択を受け、事業は2013年4月から開始されました。活動拠点は、筑波大学春日エリアにある、図書館情報メディア系知的コミュニティ基盤研究センターに置きました。
これらの支援事業は平成26年(2014)度で終了し、活動報告書が刊行されています。

 

 

3.事業の開始

 2013年(平成25)5月には、双葉町役場埼玉支所の移転に伴う震災関係資料の保全について準備を進めました。そして6月1日、「福島県双葉町教育委員会と筑波大学図書館情報メディア系との震災関係資料の保全及び調査研究に関する覚書」が締結され、両者の連携事業として正式にスタートしました。
 2015年(平成27)3月現在、この事業で取り組んでいる主な活動は下記のとおりです。
○双葉町役場埼玉支所・旧騎西高校避難所で保全された震災関係資料の整理
○双葉町内に残されている東日本大震災被災状況の現状調査及び記録写真の撮影
○双葉町内に残されている震災関係資料の現状調査と関係資料の救出・保全
○上記3件の活動について情報発信を行うためホームページの作成
○双葉町内に残されている古文書・歴史資料の救出・保全
 なお、2013年6月から2015年3月までの主な活動は下記のとおりです。

 

 

2013年6月1日付 福島県双葉町教育委員会と筑波大学図書館情報メディア系の連携覚書の取り交わし
中央が半谷双葉町教育委員会教育長

 

 

4.事業への支援・協力

 この事業を進めるにあたり、双葉町役場・同町教育委員会の方々、双葉町町民の方々、各関係研究機関・研究者の方々から多大な支援を受けてきました。御支援・御協力をいただいた主な機関・団体等は下記のとおりです(五十音・アルファベット順)。
 特に、双葉町役場埼玉支所・旧騎西高校避難所の資料保全では、林貴史氏(全国歴史資料保存利用機関連絡協議会 東日本大震災臨時委員会)の御指導を仰ぎました。また、双葉町内に残されている東日本大震災被災状況の現状調査と関係資料の救出・保全では、蝦名裕一氏(東北大学災害科学国際研究所)の御指導を受けています。
 この他にも多くの方々の御支援があります。末尾ながら、みなさまへ厚く御礼を申し上げます。(以上、執筆白井哲哉)

 

茨城文化財・歴史資料救済・保全ネットワーク  いわき地域振興センター(いわき明星大学・東日本国際大学)
神奈川地域資料保全ネットワーク  神戸大学人文学研究科地域連携センター  国文学研究資料館
東北大学害科学国際研究所  歴史資料ネットワーク  全国歴史資料保存利用機関連絡協議会  筑波大学企画室
日本アーカイブズ学会  福島大学うつくしまふくしま未来支援センター  ふくしま歴史資料保存ネットワーク
NHK水戸放送局  NPO法人宮城歴史資料保全ネットワーク  NPO法人歴史資料継承機構

 

このホームページは、筑波大学知的コミュニティ基盤研究センター「知の環境基盤研究部門」における研究活動成果の一部です。また、『双葉町復興まちづくり計画(第一次)』(平成25年6月)の「双葉町の復興まちづくりに向けた取組」における「震災・事故の教訓の記録と伝承」に位置づく取り組みです。