筑波大学 復興・再生支援プログラム
「東日本大震災の記憶・記録の共有・継承による地域コミュニティ再生のための情報基盤の構築」

大震災と双葉町の避難

双葉町は、東日本大震災及び福島第一原子力発電所事故に際してどのように町を離れ、避難等を重ねて今日に至ったのか。ここでは確認できる範囲でその経過をまとめました。

 

1.双葉町について
2.東日本大震災直後の避難
3.埼玉県への避難と支所開設
4.いわき市への役場機能移転と資料保全作業
5.復興まちづくりへ

 

 

1.双葉町について

福島県双葉郡双葉町は、福島県東部の鹿島灘に面した、いわゆる浜通り地方の中央部に位置します。町の面積は51.42平方キロメートル。町の人口は2011年3月11日現在で6,830人でした。
双葉町のホームページでは、「JR常磐線と国道6号線が平行しながら町の中心部を南北に縦断し、南は大熊町、北は浪江町に接しています。また、国道288号線で、県の中央部である郡山市と結ばれています。比較的温暖な気候が特徴で、東北地方にありながら冬は積雪が少なく、とても住みやすい自然環境」と書かれています。

 

2014年8月31日現在 双葉町役場庁舎

 

 ←クリックで拡大表示します。

別添資料 双葉町役場の避難経路と役場機能
双葉町提供

 

 

2.東日本大震災直後の避難

2011年(平成23)3月11日(金)14時46分、東北地方太平洋沖地震が発生。双葉町も大きな地震に見舞われ、その約50分後には津波が町の沿岸部を襲いました。津波は双葉町と大熊町の沿岸部に建設されていた東京電力福島第一原子力発電所(以下、原子力発電所と略)にも及んで事故を引き起こし、政府は19時3分に「原子力緊急事態宣言」を出しました。
この日の夕方、町は双葉中学校、双葉北小学校、ヘルスケアふたば等に避難所を設置し、少なくとも計2,500人以上の町民の方々が集まって一夜を過ごしました。夜の内に避難所を離れた方々もいました。
翌12日(土)5時44分、政府は福島第一原子力発電所の半径10キロメートル内の住民に避難指示を出し、町は8時に福島県伊達郡川俣町への避難指示を広報しました。約2,200人の町民と役場職員の方々は、川俣小学校ほか計11か所の避難所へ出発しました。
避難先への到着には5~6時間かかったと言われます。原子力発電所1号機の原子炉建屋が爆発したのは15時36分でした。

 


 


 

 

3.埼玉県への避難と支所開設

3月19日(土)、町は川俣町から埼玉県へ再び避難しました。この間、同月14日(月)に原子力発電所3号機、翌15日(火)に4号機の原子炉建屋が爆発しています。
このとき避難した約1,200人の町民と役場職員の方々は、さいたま市中央区にあるさいたまスーパーアリーナへ向かいました。ここで10日余りの避難生活を過ごした後、3月30日(水)・31日(木)の2日間をかけて、加須市にある旧埼玉県立騎西高校(2008年廃校)の校舎へ三度目の避難を行いました。ここで旧騎西高校避難所が開設され、最大で約1,400人が生活しました。
埼玉県ではボランティアを募って校舎の清掃を行いました。町民の方々が到着すると、清掃ボランティアからのメッセージが残されていた部屋もありました。
4月1日(金)、町は旧騎西高校校舎内に町役場埼玉支所を設置、その後の2年3か月に及ぶ双葉町の拠点となりました。なお同日、町は福島県耶麻郡猪苗代町内に「猪苗代連絡所」を設置し、同月4日(月)に避難所を開設しました(9月30日避難所閉鎖)。
4月21日(木)、政府は双葉町全域を含む原子力発電所からの半径20キロメートル圏内を「警戒区域」に設定して、住民等の立ち入りを厳しく制限しました。町では、10月28日(金)郡山市内に福島支所(のち郡山支所と改称)、12月19日(月)茨城県つくば市内につくば連絡所を設置しました。

 

 


 

 

4.いわき市への役場機能移転と資料保全作業

2012年(平成24)10月15日(月)、町は役場の機能を福島県いわき市内へ移転すると発表しました。新しい仮庁舎は翌2013年(平成25)2月25日(月)に建設着工、6月10日(月)までに完成しました。
役場機能の移転は6月12日(水)~14日(金)に行われ、同月17日(月)双葉町いわき事務所が開所しました。埼玉支所は残りましたが、10月1日(火)に加須市役所の騎西総合支所内へ移りました。12月27日(金)には旧騎西高校避難所も閉鎖されました。
役場機能の移転と前後して、震災関係資料の保全作業が行われました。作業にあたっては事前に役場内部で説明を行って、移転にあたり震災関係の文書資料等で今後の業務に必要ないものを捨てないようお願いしました。避難所の自治会にも説明を行って、作業への御理解をお願いしました。
この頃、政府による避難区域の見直しが進められました。5月28日(火)、双葉町域は避難指示解除準備区域(約4%)と帰還困難区域(約96%)に再編されました。

 

双葉町役場いわき事務所

 

 

5.復興まちづくりへ

役場機能をいわき市へ移転後、町は6月25日(火)に『双葉町復興町づくり計画(第一次)』(以下、計画と略)を決定しました。2014年(平成26)3月5日(水)には『双葉町復興まちづくり計画(第一次)に基づく事業計画(実施計画)』が策定されて、今後の復興町づくりに関する具体的な方針が示されました。
計画では、いわき事務所が所在するいわき市勿来地区を中核に置き、いわき市、郡山市、南相馬市、白河市で整備が進んでいる各復興公営住宅を「双葉町外拠点」とした「分散型ネットワークによる双葉町民のコミュニティ形成」が目指されています。
最近では、2014年8月、いわき市内に双葉町立学校(ふたば幼稚園、双葉南小学校、双葉北小学校、双葉中学校)の仮校舎が完成しました。2015年(平成27)度には双葉町域内の解体除染も着手される計画です。(以上、執筆白井哲哉)

 

 

【主な参考資料】
・双葉町「東日本大震災及び福島第一原子力発電所事故による双葉町の被害概要」(2013年10月)
・双葉町『双葉町復興町づくり計画(第一次)』2013年6月
http://www.town.fukushima-futaba.lg.jp/secure/4864/20130806_0625.pdf
・双葉町『双葉町復興まちづくり計画(第一次)に基づく事業計画(実施計画)』2014年3月
http://www.town.fukushima-futaba.lg.jp/secure/5806/20140305jigyoplan_honbun.pdf
・双葉町「双葉町における被災の現状と復興への課題~“町民一人一人の復興”と“町の復興”をめざして~」(2015年1月PPT発表資料)
・(財)地方自治情報センター『平成23年度 東日本大震災における地方公共団体情報部門の被災時の取組みと
今後の対応のあり方に関する調査研究(現地調査報告書)抜粋 福島県双葉町』
http://www.soumu.go.jp/main_content/000156852.pdf 2015年3月16日閲覧)
・福島民報HP「リステル猪苗代の避難所閉鎖 双葉町民、白河市や郡山市へ転居」2011年10月1日
http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2011/10/post_2053.html 2015年3月16日閲覧)
・福島民報HP「双葉町いわき事務所完成 17日から業務スタート」2013年6月11日
http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2013/06/post_7369.html 2015年3月16日閲覧)
・福島民報HP「最後の避難所 全員転居 埼玉・加須の旧騎西高 双葉町、来年3月完全閉鎖」2013年12月28日
http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2013/12/post_8929.html 2015年3月16日閲覧)

このホームページは、筑波大学知的コミュニティ基盤研究センター「知の環境基盤研究部門」における研究活動成果の一部です。また、『双葉町復興まちづくり計画(第一次)』(平成25年6月)の「双葉町の復興まちづくりに向けた取組」における「震災・事故の教訓の記録と伝承」に位置づく取り組みです。