図情メディア研究科パンフレット2015
17/56

15学生の声博士後期課程池田光雪博士後期課程の先 博士前期課程、いわゆる修士課程の学生が学部生と同様な就職活動をするのに対し、博士後期課程、いわゆる博士課程まで進んだ学生がどのような進路を取るかはご存じでしょうか?結局のところはその人次第となりますが、多くは大学教員や研究所における研究者、いわゆる研究職を目指します。現在、大学教員になるには一般に博士号が必要であり、博士号は博士課程でしか取得することができません。一方、高等学校までの先生、つまり教諭になるには教えたい対象に応じた免許状を取得する必要があります。 大学教員の職務は自らの研究の他、学生への研究指導や授業の受け持ちからなります。しかし大学教員は教諭とは違い、必ずしも「教えること」について体系的に知っているわけではありません。なぜならば、博士号は研究者としての能力があるということの証であり、教育者としての証ではないからです。 TAとTF どのように授業を教えるのかについて、近年ではFaculty Developmentという大学教員を対象とした研修が盛んに行われていますが、大学教員になる前は独学で学ぶほか、非常な努力をして教職課程も取るなどするしかありません。 しかし、本学にはティーチング・フェロー(TF)という独特の制度があり、学生のうちから「教え方」について実践を通じて学ぶことができます。ティーチング・アシスタント(TA)があくまでも授業資料の配布や出席確認といった補助的なポジションに留まるのに対し、TFは担当教員と協議の上、シラバスの作成や講義の実施、レポート採点など、授業のデザインそのものに密接に関わる業務を行うことが可能です。また、TAは博士前期課程でも受け持つことができるのに対し、TFはその裁量の自由さにより博士後期課程でしか担当することができません。なお、どちらも給与が出ます。私のTF経験 私は学部1年次の必修科目について、TFを2年続けて担当しました。この科目はWordの使い方やGoogleを使った検索の仕方といった基礎的な内容から、論文の探し方やレポートの書き方といった、大学における学習全般に関わる非常に重要な科目です。1学年全員、約110人を教えるのにあたり、担当教員とどのような授業構成にするかなどについて何回も協議した上で授業に臨みました。しかし、実際に教壇に立ってみると理解度の差や細かな表現の違いによる躓きなど、様々な課題があることに大変驚きました。 文部科学省が大学における教育を重視する方策を打ち出し、それに沿った採用事例も増える中、教えることの知見は机上でいくら学んでも十分とはいえず、実践を経て初めて身につくものといえるかと思います。そのような中、学生のうちにかなりの裁量を一任されるTFという制度は本研究科特有の、大変素晴らしいものだと思います。みなさんも本研究科で研究者としてはもちろん、教育者としてのスキルを養成しませんか?学生の声

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です