図書館情報メディアパンフ2017
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33研究室紹介 (情報循環)研究室紹介 (情報循環)蔵書一冊当たり平均貸出冊数蔵書規模(点数)公立図書館における借覧と来館に対する支払い意志額S図書館Y図書館有効回答数平均値最頻値最大値最小値借覧入館借覧入館池内研究室公立図書館政策に関する定量的研究概要 現在、日本には、約1,700の自治体が存在し、3,000以上の公立図書館(Public Library)が設置・運営されていますが、図書館はそれぞれ、量的にも質的にも様々に異なっています。自治体を取り巻く環境の変化と情報メディアの多様化の中で、図書館をどれだけ設置し、どのように運営することが、社会的厚生という観点から、より望ましいのかについて、種々の定量的研究を行っています。公立図書館の最小効率規模に関する実証的研究 一般に、図書館や書店は大きければ大きいほど良いと考えられていますが、財政的制約、あるいは、効率性という観点からは必ずしも支持されません。これは自治体の人口規模についても同様のことが言えますが、一定の水準までは「規模の経済(スケールメリット)」がはたらいて効率的になるものの、ある水準を超えると、再び非効率になっていく現象がしばしば認められます。そこで、図書館の効率性を代表する様々な指標を用いて、図書館の最適な規模を定義しました。公立図書館の費用便益分析 自治体が図書館を設置すべきか否かの意志決定は、本来、図書館が存在し、それを利用することによって得られる住民の便益(利益)が、その図書館を設置・運営するための費用(初期投資+運営費用)よりも大きいかどうかを予測することによってなされることが望ましいのですが、図書館は基本的に無料で利用できますので、住民がどのくらいの便益を得ているのかを測定することが困難です。一方、市場で取引されない(価格を持たない)が希少価値のあるもの(非市場財)は数多くあります。例えば、環境資源、公衆衛生、家庭内での教育、ボランティア活動などです。そういった非市場財の価値を測定するための手法を公立図書館サービスに適用して、公立図書館の便益を測定しました。

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