図書館情報メディアパンフ2017
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45研究室紹介 (情報と社会)研究室紹介 (情報と社会) 本研究室(図書館・公共経営研究室)では、図書館あるいは類縁機関が知識・情報やそのサービスをどのように市民に対して提供するのか、またそれらを通し地域社会における様々な課題をどのように解決していくのかについて、(1)公共経営(自治体)、(2)図書館経営(図書館)、(3)図書館サービスと利用者(市民)の3つの観点を切り口に、マネジメントあるいはガバナンスという観点から研究を進めています。 公共経営の観点では、図書館政策・制度、図書館を介した地域のガバナンスなどが主要な研究のテーマです。例えば、高知県大川村は離島を除き全国で最も人口の少ない人口減少地域ですが、最近若い世代の呼び込みに成功しつつあり今後の自治体の取り組みの先進的事例にもなっています。本研究室では、同自治体における「ことな館(図書室)」が行う地域に根ざした活動や自治体との関係性を資料調査やエスノグラフィー(観察調査とインタビュー調査の組合せ)を行い、その実態を明らかにしています。 図書館経営の観点では、図書館の経営戦略や組織をどのように構築し、図書館をマネジメントしていくかが主要な研究テーマです。例えば、最近では公共施設の経営効率を重視し、公共部門(官)と民間部門(民)が共同で公共施設の経営を行うハイブリディゼーション(Hybridization、交雑化)を基礎とした経営手法が開発され、日本では指定管理者制度として大きな影響を与えています。本研究室では、日本と北欧4カ国(デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド)の公共図書館(公共部門直営とハイブリッド・オーガニゼーション)を対象に、(1)内部資料の質的内容分析、(2)参与観察と半構造化インタビュー調査、(3)国際比較分析などを実施しています。 図書館サービスと利用者の観点では、図書館がどのように革新的なサービスを構築し利用者に提供するかが主要な研究テーマです。例えば、米国ピッツバーグ・カーネギー図書館が10代の子どもたち向けに新しいメディアとデジタル技術を基礎とした創作活動のための環境を提供するサービス「The LABS」を構築していますが、本研究室では、その構築過程や利用者の反応を調査しています。また、日本では愛知県の田原市図書館などが新しいサービスを継続的に構築してきていますが、その過程を詳細に分析し、明らかにしています。小泉研究室公共図書館の経営とサービスに関する研究高知県大川村における移動図書活動と周囲の風景ピッツバーグ・カーネギー図書館のティーン向けの新サービス「The LABS」 のコーナー

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