図書館情報メディアパンフ2017
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47研究室紹介 (情報と社会)情報学・図書館情報学と知的財産法 本研究室では、著作権法を中心に、特許法・商標法・不正競争防止法などの知的財産法に関する法学分野の研究を行っています。知的財産法は、情報の一定の利用行為を規制する法であり、情報学・図書館情報学においては、情報と社会制度(法制度)との関わりの一側面としての研究領域になります。著作権法の現代的課題 現在の著作権制度のもとでは、著作物の複製・公衆送信(インターネット上での送信等)等の利用の際には、原則として著作権者の許諾が必要です。しかし、複製等をする者が限られていた制度の誕生当初と異なり、現在は、デジタル技術やインターネットが発展し、誰もが容易に著作物を創作したり利用することができるようになりました。現代においては、著作権の保護の実効性の確保が求められるとともに、著作物の利用の自由を確保するという観点も重要になっています。本研究室では、現代の状況に適合した著作権法のあり方を模索しています。ゼミ ゼミは、知識情報・図書館学類生と合同で行っています。各々の関心に応じて、知的財産法に関するテーマを設定し、判決文・評釈・論文・概説書等の文献をもとに検討を進め、ゼミで議論します。これまでのゼミ生の大学院での研究テーマには、例えば下記のようなものがあります。・写真の著作物の保護範囲 ̶異なる表現形式での利用における侵害の成否を中心に̶•著作権の間接侵害についての研究•DRM回避規制に関する法制度の在り方 ―海外事例との比較検討から―•UGCに配慮した著作権リフォームの提案-表現の自由の観点から-•知的財産としての伝統的知識・フォークロアの保護•図書館機能からみた図書館における複製のあり方•著作権法における方式主義の採用可能性図書館・アーカイブと著作権法 図書館やアーカイブにおいては、多くの著作物が扱われるため、著作権に関連した問題が生じることがあります。例えば、権利者不明の著作物は「孤児著作物」と呼ばれ、権利者の許諾を得られないために著作物の利用ができないことが著作権法上大きな問題となっていますが、アーカイブを構築するうえでも障害の一つになっています。 インターネットやデジタル技術が発展した現代において、技術を活用した知識や情報の集積・共有のために、著作権制度がどのようにあるべきか、今後検討を進めていきたいと考えています。村井研究室現代に適合した著作権制度の探求ゼミ風景ゼミ風景:著作権侵害が争われた写真について議論をしています研究室紹介 (情報と社会)

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