平成23年度 卒業研究指導方針

氏 名 谷口 祥一
所 属 知識 知識情報システム主専攻  図情 情報メディアマネージメント分野 
研究室 7D303
指導可能な研究領域
 情報組織化(知識資源組織化,情報メディア組織化)という領域を担当しています。あまた存在する知識資源・情報資源なるもの(印刷体資源からWeb上の資源まで,記録物と捉えられるもの)を,いかに多様な要求または特定の要求に効率的に応えられるように秩序づけるのか,特には事前に秩序づけておくのかというのが組織化です。ご承知の通り,システム化できる部分とそれが困難な部分とがあります。卒業研究においても,このような領域に属するテーマを取り上げたいと考えます。情報組織化に興味があれば,あるいは希望のテーマがあれば,ぜひご相談下さい。知識資源・情報資源,それらに包含された情報・知識,これらの管理・検索・統合など,次の時代の情報組織化を共に模索しようではありませんか。
 私自身は,情報組織化の中でも,知識資源・情報資源に対する記録(メタデータ,書誌データ,サロゲート,アノテーションなどと呼ばれるもの)を作成・管理し,それによって組織化を実現しようとするアプローチにこだわってきました。もちろん,分類,統制語彙,そして検索などが,これに組み合わされて組織化が構成されます。これらの点では,セマンティックWebとも接点があります。
 極端にいえば,サーチエンジンは「検索」技術のみで情報組織化を達成しようとしていますが(実際には日々変化しつつありますが),他のアプローチも存在し,かつ必要であることにこだわり続けたいと考えています。
 詳細については,http://www.slis.tsukuba.ac.jp/~taniguch/ をご覧下さい。
研究指導の概要
 希望研究テーマにできるだけ沿って,大まかには先行研究や既存システムの調査,具体的な卒業研究課題の選択(something newの考案を含む),システム設計・構築,評価という順に進めていきます。
 例えば,以下のような研究テーマが考えられます。

・OPAC(目録検索システム)の再構築
 図書の本文が検索できるGoogle Book Searchの時代にあって,OPACにはどのような機能(ユーザ支援機能を含む)が求められるか。データ(レコード)の修正・再作成の必要性を含めて,新しいタイプのOPACとはどのようなものが構想できるか。本文(テキスト)や多様な画像データが存在する状況での適切なOPACとはどのようなものか。

・現行OPACの機能拡張
 現行のOPACに対して,FRBR化した検索・表示の導入,ランキング表示の導入,有効な主題検索の支援,関連資源へのナビゲート,適合フィードバックの導入などは,どのようにして実現できるか。既にこれらの機能を実現したOPACが存在しますが,それらで十分なわけではありません。

・Web上の資源に対するメタデータ作成と検索
 内容・構成に関する情報を自動的に抽出することはどの程度可能か,適用可能な緩やかな個人名や団体名の典拠コントロールとはどのようなものとなるか。検索されたメタデータを適切にクラスタリングして表示することは可能か。

・Web上の資源や図書に対するユーザによるタグづけの有効活用
 最近,フォークソノミーやソーシャルタギングと呼ばれるユーザによるタグづけが注目されているが,これらをユーザが作成したメタデータの一種と捉え,より有効に活用することは可能か,あるいはユーザによるタグづけを効果的に支援する機能にはどのようなものがあるか。

 これらは,例示にすぎません。情報組織化に興味があれば,あるいは希望のテーマがあれば,ご相談下さい。

 システム主専攻に属していますが,システムについてはアマチュアです。それゆえ,完成度の高い(スマートで頑健な)システムを構築する指導はできませんので,構想したアイディアを曲がりなりにもシステムという「かたち」にできればよいと考えています。むしろ,対象とする資源や領域の特性を踏まえたアイディアの考案という部分に比重を置きたいと考えています。

 原則として週1回の頻度でゼミを行います。
研究をすすめる上で望ましい条件
 熱意をもって卒業研究に取り組めること。
受け入れの必須条件 
 訪問期間中に面談をすること。漠然としたもので構いませんので,面談時に希望テーマを説明して下さい。そして,テーマが指導可能である点の承認を得て下さい。 
選考方法
 希望テーマによる選考(私の研究指導能力から見て適当なテーマを優先する)
その他
 面談時間の予約等はメールで連絡して下さい。