「予知夢は存在するのか」

1、研究目的

私は普段よく夢を見る。予知夢を見たことも何度もある。たとえばその中の1つは、この大学に合格する夢だった。しかし、自分でもそれが本当に予知夢だったのかはわからない。夢のメカニズムを通して、予知夢は本当に存在するのか調べてみようと思う。

2、研究方法

最初は市立図書館の本で夢を扱っているものを調べた。それを補う形で、インターネットを用いて「夢」「睡眠」などのキーワードで検索してみた。

3、結果

レム睡眠とノンレム睡眠

私たちは1日の約3分の1を眠って過ごしている。そして夢を見る。夢を見るというのは主観的な体験であり、客観的に調べるには脳波を測定するという方法が使われている。

人間の睡眠には「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の2種類がある。「レム」とは「Rapid Eye Movement(急速眼球運動)」の略である。

「レム睡眠」:浅い眠り。身体の眠りとも言う。脳が活発に活動しており、眼球が動く。筋肉がほとんど緩んでしまう。

「ノンレム睡眠」:深い眠り。脳の眠りともいう。大脳を休ませているらしい。眼球の動きが停止している。筋肉は完全には緩んでいない。

睡眠の周期

私たちが眠ると、まず最初にノンレム睡眠が訪れる。ノンレム睡眠は次第に深くなっていくが、しばらくすると浅く戻ってくる。そして次にレム睡眠が始まる。これを何度も繰り返す。ノンレム睡眠からレム睡眠への1回の周期は約90分であり、この90分は「睡眠の一周期」と呼ばれている。人間以外の動物(爬虫類以上)はこの一周期ごとに眠ったり起きたりする。人間のように連続で眠るのは、むしろ例外であるようだ。

このノンレム睡眠とレム睡眠の構造はしっかりしており、寝ている間にこれを4〜6回繰り返して朝になる。明け方になるにしたがって、レム睡眠の1回の継続時間は長くなる。レム睡眠のときの脳波は、覚醒しているときの脳波によく似ており、このときに目覚めると寝起きがスムーズである。

いつ夢を見るのか

夢を見るのは、起きているときと同じような脳波を示すレム睡眠の時である。その間に断続的に何回も夢を見る。しかし、覚えている夢は目覚める直前に見ていたものであることが多い。たまに「あまり夢を見ない」という人がいるが、単に覚えていないだけのことである。起きる直前がレム睡眠だった場合は覚えている確率が高く、ノンレム睡眠だった場合は覚えていないことが多い。

夢と記憶の関係

人は起きている間、見たことなど多くの情報を脳の中に記憶する。そして、寝ている間にその記憶を整理している。記憶を整理する時、脳はまず起きている間の記憶を再生して見直す。ここで残す価値があると判断された記憶は、必要な時すぐに取り出せるようにきちんと保存される。一方いらないと判断された記憶は、捨てられる。

この記憶の整理中に再生された映像は、夢に出てきやすい。レム睡眠の時、記憶の脳である海馬と視覚情報を司る視覚野が活発に働いていることがわかっている。そして記憶の中には未来予測も含まれている。日常で無意識のうちに未来を予測したことが記憶に残っていて、記憶の整理の過程で夢として見てしまうことがある。これが予知夢だろうと考えられる。

4、考察

上記の結果から、予知夢は存在するのではないかと思う。しかし、オカルトで言われるような予知夢とは違う。予知夢とは人間の記憶と夢のメカニズムが偶然作り出したものである。私の見た夢も、きっと無意識のうちに未来予測した記憶が作り出したのだろう。ちなみに合格する夢は2回見たが、不合格になる夢も1回見た。不合格になる夢が予知夢にならなくて本当によかったとほっとしている。

5、参考文献

鞭羊子:夢と眠りの使用法 もっと自分が好きになる、同文書院、1993
ロフテー株式会社快眠スタジオ:ねむりのはなし、六甲出版、1997
http://www.tbs.co.jp/spaspa/010201.html#1