- 研究目的
大学に入学して色々な地域から来た友人たちと話をするうちに、
じゃんけんなどのやり方に地域によって随分差があることが興味深く感じられ、
各地にはどのような言い方があるのか調べてみたいと思った。
日常よく使うものの中から、特に気になった
「選び歌(♪どちらにしようかな〜)」「じゃんけん」「グループ分け」
の3つについて調べることにし、以下の3点の解明を目標とした。
- 日本各地にはどのようなじゃんけんの言い方やグループ分けのやり方があるのか
- 地域ごとの特徴や、その境界はあるのか
- それらの言い方に何か由来はあるのか
- 研究方法
- 図情大宿舎にアンケート用紙を配布し、出身地での言い方を書いてもらった。
(回収率:3割強)
- 佐藤・佐々木がそれぞれ個人で運営しているHPにアンケートフォームを設置して
図情生以外の人にも上記と同じ内容を答えてもらった(約30件回収)
- 上記の方法で補完できなかった県の知り合いに口頭でアンケートをとった
- 図書館の資料・インターネットを用いて調べた
- 結果
≪じゃんけんについて≫ →地域別調査結果一覧
- やはり全国的に「(最初はグー)じゃんけんぽん(ぽい)」が一般的であるようだ。
- じゃんけんとは、こぶしを出して、数や手の形によって勝ち負けを決める「拳」の1種である。
- 拳の源流は古代中国、周の時代にさかのぼると言われるが、その発生や伝播、流布に関する
生産活動や民俗信仰との関わりについてはよくわかっていない。
- その「拳」の中の「本拳」というものが寛永の頃長崎に伝わり、享保の頃江戸に伝わったらしい。
- 本拳:主に酒席で遊ばれたらしい。二人でそれぞれ片手の指で0から5までの数を指で示しながら
同時に互いが示した数の合計を予想する数を言い、その言った数に二人が指で示した数の合計が合ったほうが勝ちになる。
- じゃんけんは「三すくみ」(三者が互いに牽制しあって、身動きできない状態)の考え方に基づいている。
- 江戸時代のじゃんけんには、庄屋拳(庄屋・鉄砲・狐)や虫拳(蛙・蛇・なめくじ)などがあったようだ。
- しかし、現在のルールがどこの発祥なのかについては諸説があり、よくわかっていない。
- グー・チョキ・パーを使うじゃんけんは世界の各地に見られる。
- 世界にはグーチョキパー以外を用いるじゃんけんもあるし、3すくみではなく5すくみなじゃんけんもある。
しかし、じゃんけんを日常的に使用するのはアジアの国々が多く、欧米にもじゃんけんは存在するが
「3すくみ」よりも「1か0か」の原理が強く働いているため、コインの裏表を用いることの方が多いようだ。
- 「じゃんけん」の語源については、「石拳(じゃくけん)」、「両拳(りゃんけん)」などという説や、
仏教用語の「料簡法意(りゃけんほうい)」という説がある。
「ぽい(ぽん)」については、勢いの良さや登場を表す擬態語「ぽん」、麻雀の「ポン」、また、中国ではじゃんけんは
「石・鋏・布」の順で言うのだが、その最後の「布」の発音が「ポン」に近いから、という説もあるようだ。
≪グループ分けについて≫ →地域別調査結果一覧
- 全体的に、じゃんけんの手のうち2つを使う「グーパーじゃんけん」系と、手の平と甲を使う「うらおもて」系に分けることができる。
- グーパー系は広く全国に見られるが、うらおもて系は首都圏には少なく、東北や九州に多く見られる。
- 考察
- じゃんけんの言い方には、アンケートで聞いた分には各地域の間に思ったほどの違いはなく、スタンダードな言い方がほとんどであった。
しかし、本などで調べてみると随分色々な言い方があることから、今回の主なアンケートの回答者の中心であった若年層の間には、標準語的な
「(最初はグー)じゃんけんぽん(ぽい)」がかなり普及しているように思われる。
- また、アンケート回答分には、「最初はグー、いかりや長介頭はパー、正義は勝つ…」と「ジャカジャカじゃんけん」に代表される、
バラエティー番組が元になっているものも見られた。私がそう判断できるものはこれらのみであったが、じゃんけんの歴史の中で、
こんなふうに、有名人や番組、書物などの大衆的に人気があったものから普及した言い方もあるのではないかと思われる。
- じゃんけんの掛け声に出てくる単語には、地名(アメリカヨーロッパ、北海道etc)、食べ物(じゃがいも、さつまいも、アイスクリーム)
などの他、ほととぎす、しゃみせん、ぽっくりげたなどがあった。それ以外にも「あいらっぴ」「はんめーやっち」などの掛け声も見られ、
これらの由来や語源を特定することは出来なかったが、全ての単語が、5音か7音の、日本語的に語呂の良いものであるという共通点が
見受けられる。
- 拳の一種「本拳」について。これは他の地域の人には未確認であるが、私は幼い頃から、友人たちと「本拳」とほぼ同じルールで
「いっせーのーせっ!」という掛け声で遊んでいる。本拳は本拳で、じゃんけんと比べたら地味にではあるが、現代まで受け継がれているようだ。
- 「うらおもて」が使われる地域は比較的限られており、今回の調査では、特に東北中南部の太平洋側と神戸市、九州(特に福岡)に多く見られた。
逆に、首都圏や大阪周辺などの大都市圏ではグーパーが主流であり、うらおもてはほとんど見られなかった。
- 北海道や中国・四国ではパーではなくチョキを使った「グーチョ」も多く見られる。また、沖縄には特有の「しろくろ」という分け方が
あるようだ。これらの地域も、大都市圏からは離れている。
- これらのことから、歴史的にどちらが先とは断定できないが、グループの分け方としては「グーパー」が標準語的なものだと言うことができる。
- これまでも「そんな言い方があるの!?」と思うことは多かったが、今回の調査でより多くの言い方を知ることができた。
また、かなり大まかではあるが、地域による差や、皆ばらばらで困った時に使える、標準語のような言い方も知る事ができた。
しかし、このようなものの言い方というのは、同じ県でも違うということがほとんどだし、調査した中では「家族内でも皆違う言い方だった」
という人もおり、まだまだ色々な言い方があり、分布ももっと複雑であろうことが容易に想像できる。だがそれらを本格的に調べるには
「教養と科学」という、前期の週1の授業では時間も情熱も足りないし、本当なら「どうしてそんな言い方ができたのか」まで
調べたかったのだが、やはり同様の理由で断念した。それでも、自分が地元で使っていた以外の言い方を知りたいという当初の目的は
果たすことが出来たので、個人的にはまあ満足している。ネット上でアンケートを取った時も、興味を持って好意的に協力してくれたり、
「ええっ他にも言い方ってあるんだあ!」とそのこと自体初めて知ったりという見ず知らずの方がたくさんいて、嬉しかったです。
- 最大の反省点は、宿舎住人へこの授業でのアンケート調査が集中してしまい、先輩方数人からお叱りを受けてしまったことである。
私達の配布したアンケート用紙は「よくできてる方」(先輩談)と言われたものの、やはりやり方や表現に少々問題があったことは確かである。
もし来年以降もこのような授業があるなら、そういうことにも気を付けて調査してほしいと思うし、私自身も気を付けたいと思う。
- 謝辞
図書館情報大学学生宿舎住人の皆様、佐藤・佐々木周辺の皆様、ネットで回答して下さった皆様
ご協力有難うございました。
- 参考文献
「日本のあそび歌」川崎洋、新潮社、1994
「じゃんけんドットコム」 http://www.janken.com/top.html
「教えて!ティーチャー先生」 http://www.mag2.com/vow/osiete/
「めざせ!NATIVE関西人」 http://www2g.biglobe.ne.jp/~gomma/index.html
「Multiculturalpedia 多文化理解事典」 http://www.netlaputa.ne.jp/~tokyo3/index.html
|