いろいろな選び歌とじゃんけん

   −「♪どちらにしようかな〜」から始まる選び歌編−   2002160 佐藤絹子


1 研究目的
田舎から出てきた私は、方言や話し方について驚かされることがたくさんあった。
どこに境界線があるのか、由来はあるのか、共通点はあるのか、などということに深く興味を持っていたので、日常生活においてよく使われるじゃんけんや、グループ決めの掛け声、ものを選ぶ時に口ずさんでしまう歌に焦点をあて調べてみることにした。


2 研究方法
図書館情報大学宿舎の皆さまにアンケートを配布。
出身地、自分が使っているそれぞれの言い方を書いてもらった。(回収率:およそ3割)
自分達が運営しているサイトにアンケートフォームを設置。(およそ30件回収)
サークルの知り合い、地元の友人など口頭でのアンケート。
インターネットでの検索や本を用いた。

3 研究結果
アンケートやネットで調べた中から、多く見られたものとおもしろいと思ったものを選び出しました。
アンケート → ★  ネット → 

北海道・東北地方

 なのなのなすびの柿の種 (北海道)
 べべべのべのべの柿の種 (北海道)
 ピーチクパーチク ひばりの子(青森・岩手)
 ちちんぷいのぷい(宮城)
 てこてんのすってんてん さらなべよ(宮城)
 赤豆 白豆 三度豆 鉄砲打ってバンバンバン(福島)
 鉄砲打ってバンバンバン もひとつおまけにバンバンバン(山形・福島)

北海道では「なのなのなすび」がかなり多く見られた。

    

関東地方

 なのなのな 鉄砲打ってバンバンバン (関東全域)
 あべべのべ 鉄砲打ってバンバンバン (関東全域)
 おすすのす 鉄砲打ってバンバンバン (関東全域)
 鉄砲打ってバンバンバン もひとつおまけにバンバンバン(関東全域)
 まるっ!(句読点を読む/千葉)

関東地方では、必ずと言っていいほど「鉄砲打ってバンバンバン」というフレーズが入っている。

    

甲信越・北陸地方

 あべべのべ (新潟)
 タツタノタノスケ 鉄砲打ってバンバンバン(長野)
 あっぽっぴのぴのぴ 鉄砲打ってバンバンバン
                  蜂蜜塗って食べちゃった(石川)
 すっぽろぽんのすっぽろぽんだ(新潟)
 めのめの3番目のひよこ(富山)

新潟では「ずっぽろぽんだ」、長野では「タツタノタノスケ」が有名らしい。

    

東海地方

 ぎっこんばったん ぎっこんばったん (静岡)
 ぎったんばっこん ぎったんばっこん(静岡)
 赤豆 白豆 ・・・豆(例:茶色豆、天の豆/静岡)
 ろうそく一本消えた(岐阜)
 ゲゲゲの鬼太郎 よろしくね(愛知)

静岡県では、「ぎったんばっこん」系と「赤豆 白豆・・・」系に2分されているみたいである。

    

近畿地方

 ぷっとこいてぷっとこいてぷっぷっぷ (近畿地方全般)
 あっぷっぷ (大阪)
 ぷぃぷぃぷぃ 柿の種をまきました (兵庫)
 グットバイでグットバイでグット バイ バイ 柿の種 (京都)
 けっけっけの柿の種 (滋賀)

関西地方では圧倒的に「ぷっとこいて〜」がメジャーらしい。
その他の歌にも「ぷ」という言葉が使われていることから、上記のフレーズから
それぞれ派生したのではないかと考えられる。

    

中国・四国地方

 あっぺけぺーのゲゲゲの鬼太郎 (山口)
 ゲゲゲのゲ (山口)
 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 (岡山)
 キンコンカンコン アブラムシ (徳島)
 鉄砲打ってバンバンバン(愛媛)

四国では、「神様の言うとおり」ではなく、「天神さん」、「おいべっさん」、
「裏の畑の権兵衛さん」の言うとおりであることが多いらしい。

    

九州・沖縄地方

 真っ黒くろけのけっけっけ (福岡・佐賀)
 1・2・3番目の柿の種 (福岡)
 ゲゲゲのアブラムシ (大分)
 けけけの毛虫 アブラムシ (福岡)
 ごはんつぶ (宮崎)
 アブラムシ 毛虫 (鹿児島)
 ピンポンポポンのアブラムシ (鹿児島)
 キンコンカンコン 毛虫の言うとおり (沖縄)

九州地方では毛虫など、「虫」の入った歌が主流である。



4 考察
県や地区によって頻繁に使われるフレーズが存在するが、まったく同じ歌詞であるのはなかなかあり得ないことだと分かった。
親兄弟から教えてもらった、幼稚園の先生に教えてもらった、などという様々な環境要素がからみあって自分なりの選び歌が出来上がっているのであろう。
また、宮城の「ちちんぷい」、岐阜の「ろうそく一本消えた」のように、他の遊び歌と混ざっているのもある。
どうして九州地方には虫にまつわる歌詞が多いのか、柿の種の正体は?などと挙げれば数え切れないほどの疑問はあるが、とても昔から歌われてきているようなので調べることは難しいと思う。 それと同様に、元になる歌や由来などを調べることも不可能である。
しかし、「鉄砲撃ってバンバンバン」というフレーズは、関東全般に多くみられるのをはじめとして、全国にわたって使われているのが分かる。
しかも、関東から離れるにつれて聞かれなくなってきているということは、関東から普及し全国に広がったのではないかと考えることができる。
人口の分布から考えると、「鉄砲撃って〜」が一番使われているということになる。

やはり、他の地域の歌をみるととても不思議に思えて仕方なかった。
「忘れてしまった」などの回答も見られたが、こういう地域特有の言葉使いなど、大事にしていきたいと思った。

5 謝辞
アンケートに答えてくれた、図書館情報大学宿舎の皆様、周りの友人の方々、HPに訪れアンケートに答えてくださった方々、及び私たちの調査に関わった全ての皆様に心からお礼を申し上げます。
そして、私の先頭に立ってずっと頑張ってくれました佐々木千晴様、本当にありがとうございました。お疲れ様でした。

6 参考文献
えらび唄 −どちらにしようかな−   http://tokyo.cool.ne.jp/erabiuta/index.html
うらてら                    http://www.imasy.or.jp/~mtera/mtera.html


図書館情報大学 2002160 佐藤絹子
n160@ulis.ac.jp