3次元CGによるインテリア支援システム

嘉藤 千尋
近年、CPU速度の向上とより大容量のメモリを安価に利用できるようになったことから 2次元のみならず3次元CG(コンピュータグラフィックス)がPCでも利用できるよう になった。この3次元CGを用いることで、実際には実現できない映像を作成し、操作し たり、また頭の中にある想像の世界を現実に近い形で可視化したりできるようになった。 これを利用して、様々なシミュレーションが行われている。我々にとって個人の部屋は、 くつろぎの場所であり、自分を表現する場所でもある。近年では雑誌で特集を組まれるこ ともあることから、我々の中に自分の部屋のインテリアに対するこだわり、要求というも のが増えてきていることがわかる。インテリアの雰囲気を変える大きな要素のひとつは家 具である。この家具の配置や大きさによって住み良さが大きく左右されると言っても過言 ではない。しかし家具には高価なものや重いものが多い。そのため購入した後で、実際に 配置してみると自分の部屋には合わないということがわかったとしても安易に買い換え ることができない場合も多い。また模様替えの際に家具の配置を何度も移動し直すことは 時間や労力の無駄である。
上に挙げた購入の失敗、労力や時間の無駄といったものを防ぐために、本研究では3次 元グラフィックスライブラリであるOpenGLの機能を用いて、家具の配置に重点を置いた インテリアについてのシミュレーションシステムを構築した。操作の多くは画面上のマウ ス操作で行うことができるようにした。また初心者にも扱いやすいように、できるだけ操 作を単純にした。ボタンにより床・壁・天井を出現できるほか、ポップアップメニューか ら家具の選択をし、マウスの左クリックで配置を行うことができる。家具の色も家具同様 に何色かの中から選択可能にした。また配置後は、その部屋内をウォークスルーできるよ うにした。その操作や、配置画面からウォークスルー画面への転換も画面中のボタンで可 能である。
問題点として以下のような事が挙げられる。本システムは、家具の配置やウォークスル ーの機能に重点を置いたために、当初考えていた「支援」というべき機能のいくつか、例 えば家具の大きさを変更できる機能や、配置後の位置の微調整機能、家具の上にまた何か を乗せられる機能、家具とドアの接触時等のエラーチェック機能等を付加できなかった。 また、窓やドアの描画ができていないため、実質的に部屋が密室になってしまっていると いう点や、テクスチャの貼り付け機能がない点、家具や部屋の大きさといった点で、リア リティに欠けている。しかし今回は本システムのようにインテリア関連のシステムを構築 する場合の基礎となる部分のいくつかは実現できたのではないかと思われる。今後の課題 として上に挙げた問題点を解決し、部屋や家具の種類をもっと増やすことができれば利用 者にとってより汎用性があるシステムになると考えられる。