OpenGLによるキャンパス情報システム

櫻井 理絵
 大学に入学したての頃は大学構内がどのようになっているか知らないため、 広いキャンパスでは特に迷子になりやすい。目的の教室がどこにあるのか分か らない場合もよくある。そのようなとき、私たちは構内案内図を利用している。 しかし、構内案内図は2次元であり、同じような建物や教室が並ぶ大学では分か りずらいこともある。近年、CGを用いた地図情報が一般的になり、2次元のもの が多くを占めてはいるが、3次元のものも増えてきている。そこで、3次元CGで 構内案内システムを構築しようと考えた。しかし、3次元のみのシステムを利用 すると、現実感はあるのだが、今度は全体のどこにいるかを把握することが困難 であるという問題が出てきた。迷路の場合と同様に、全体的な位置を知るために は上から見た2次元の地図情報もやはり必要である。そこで2次元の平面地図と 3次元地図を同期させることにより、そのような問題を解消するシステムを構築 することにした。また、大学に入学し新学期など新しい授業を受けるときなど、 授業名や担当教官名など教室(場所)情報以外の情報から場所、関連情報を得るこ とができれば便利である。そこで、図書館情報大学の一部を用いてキャンパス情 報システムを構築することにした。
 先行研究では、VRMLによりシステムを構築していたが、これは事前にインター ネット上で情報を取得することを主眼としたものであった。しかし、事前にある 程度の情報を得ていたとしても、実際にその場所に立ってみると、やはり迷子に なってしまうということも少なくない。そこで本研究では、インターネットで情 報を提供するというよりもその場所(構内の出入りの多い場所)における情報の提 供を前提とした。この場合もVRMLを用いてシステムを構築することは可能である が、より細かい制御が可能であるOpenGLを用いてシステムを構築することにした。
 本システムを利用することにより、慣れない大学構内で迷子になったりという 事はなくなるであろう。また、何かわからないことがあった場合にポップアップ メニューから関連した項目を選択すると関連情報を得ることもできる。2次元画 面では矢印により現在地を表示し、メニュー画面のボタンを押すことにより3次 元ウォークスルー画面での移動などの操作が簡単にできるようになっている。 しかし、自動誘導ができない、リアリティに欠ける、インターネット上に載せら れない、構内のオブジェクト配置の方法が面倒、構内の情報等を管理するインタ フェースが充分でない等、これらの解決すべき問題もある。将来的には、構内全 体とオブジェクトを増やせば、よりリアルで使いやすいキャンパス情報システム になるであろう。さらに範囲を広めれば、大学構内に限らず、他の建物にも応用 することも可能となり、よりよいシステムになるであろうと思われる。