3次元CGによる建物案内作成支援システム


木下 寛子
私たちは、初めて訪れる建物で目的の場所の情報を得るためや、 自分の位置を確認するために建物案内図を利用することがよくある。 建物案内図の利用形態としては、建物内の正面玄関やロビーに設置さ れている場合やインターネット上で公開されている場合、パンフレット や本などに掲載されている場合などが考えられる。これらの利用形態 から考えても、建物案内図は図や写真などの2次元のものが多く、 また簡略化されているので、初めて訪れた場所では建物内の部屋の 配置が理解しにくい場合がある。その改善策として建物案内図を3次 元で表現することができれば、建物内の位置関係を理解しやすいと考えた。 また、その建物に詳しい人物が建物案内図を作成すれば建物案内図の 利用者によりわかりやすい情報を提供できると考えた。しかし、 建物案内図は誰にでも簡単に作れるわけではない。しかも3次元CGで 表現するのであれば、コンピュータグラフィックスの知識も必要となる。 そこで本システムでは、コンピュータグラフィックスの知識がない人でも 容易に3次元の建物案内図が作成できるようなシステムの構築を目的とした。
本システムは、2次元の建物案内図作成システム(2次元作成システム)と 3次元の建物案内図表示システム(3次元表示システム)から構成されている。 2次元作成システムでは、マウスの左ボタンで部屋や廊下などを示すアイコン を選択し、床にあたるメッシュ部分に2点指定で選択されたアイコンを配置し ていくことで建物案内図ができるようになっている。2点指定で描画範囲が決 定できるので、様々な大きさのアイコンを配置できる。3次元表示システムで は、2次元作成システムで作成した建物案内図のデータをもとに3次元の建物案 内図が表示され、ウォークスルーの機能により上下左右などあらゆる視点から 建物案内図を見ることができる。このシステムを利用することにより比較的容 易にアイコンを配置していくという操作だけで、コンピュータグラフィックス の知識がない人でも3次元の建物案内図が作成できると考えられる。
本システムの問題点としては、アイコンを配置して建物案内図を作成するので リアリティーをだすためには2次元作成システムと3次元表示システムの両方に 沢山のアイコンが必要となる。しかし、現段階ではアイコンの数が少なく、 表現できる建物案内図が限られてしまう。また、ビルなどを建築するために 必要な建築基準の考慮や誘導機能の追加など改良すべき点も多くある。今後、 これらを改良すれば様々な建物の案内図を作成するシステムとして活用するこ とが出来るのではないかと思われる。