3次元CGによる子供向け積み木ソフト
水端 彩
最近、コンピュータを取り入れている幼稚園が増えてきている。「園児募集の目玉とし
て」「コンピュータ社会に乗り遅れないように」という風潮もあるが、「遊具として取り
入れている」というところもある。本研究では、後者に着目した。特に「教え込み型で
はなく、子供の自由度が高いもの」「課題達成型ではなく、探索・発展型のもの」「多機
能でも子供の目当ての機能にたどりつきづらいものは避ける」という点を重視した遊具
が必要であると思われる。
子供向けのパソコンソフトには、言葉や数の学習、絵本、お絵かきなどがある。言葉
や数の学習ができるソフトは出された問題に答えると音楽が流れるなど、課題達成型の
ソフトである。絵本ソフトは普通の絵本を見るようにストーリーを追ってページを進め
るほかに、登場人物などをクリックすると様々な動きも見られる。これは登場人物をク
リックして新しい場面を発見するという点においては探索型、発展型であるといえるが、
子供の働きかけに自由度が少ない。お絵かきソフトは真っ白なところに子供が好きなよ
うに絵を書けるため、かなり自由度は高いと考えられる。
本研究では自由度の高いもの、探索・発展型のもので、子供向けのパソコンソフトで
はまだ少ない3次元空間で何か操作をするものを想定した。その結果、3次元CGによ
る子供向けの積み木ソフトを作成することを本研究の目的とする。幼稚園などで取り入
れたとき、このソフトは子供が創造性を養い、自己表現ができる遊具の一つになると思
われる。
本システムは、C言語で記述しグラフィックスライブラリであるOpenGLを用いた、イ
ンタラクティブに立体を出してそれを動かし、その立体に対して何か操作のできるシス
テムである。利用者に「子供」を想定しているため、操作はすべてマウスのクリックや
ドラッグでできるようにし、操作をするためのボタンも文字ではなく絵で表示した。マ
ウスを動かすのは2次元上であるが、積み木が描画されているのは3次元上であるため、
積み木の動きがわかりにくいと予想されたが、左ボタンでドラッグすることにより前後
左右、右ボタンでドラッグすることにより上下に動かすように左右のボタンで操作方法
を分けることでその問題を解決した。
現段階での問題点としては、立体と立体がぶつかったときにすり抜けないようにする
機能が厳密でなく、空間はあいているのに置けない場所があるという点や立体の影が床
には描画されるが別の立体には描画されない等の点がある。この問題が解決すればより
使いやすいシステムになると考えられる。