1 樹木の枝ふりに適用されるフラクタルのような幾何モデル。 2 枝の分岐法則や日照条件、成長ホルモンのようなさまざまなパラメータによる樹木 モデル
これらの2つのモデルは実写画像を用いない。
一方、実写画像を基にし、「体積交差アルゴリズム(VI)法」を用いた3次元樹木モデル
というものがある。この方法は角度を変えて撮った複数の実写画像を利用している。しかし
ながら、このモデリング法では、1本の樹木のみを考慮している。一般に、他の樹木や物体
が邪魔になることから、1本の樹木だけの写真を撮る事は難しい。特に、樹木のモデリング
の自動生成手順に対しては問題になると思われる。 また、VI法は凹面を含むような複数の
樹木に適用することができない。実写画像を用いて、凹面を含む任意の物体の3次元再構
成を行うアルゴリズムにいわゆる「連続シルエット法」というものがある。そこで、これ
ら2つの方法を組み合わせることで凹面を含む複数の樹木を扱えるようにしようと考えた。
本研究において、複数の樹木を含む実写画像から、リアリティを保持した3次元樹木形
状を自動的に生成する方法について考案した。自動化の手順において、事前情報として、い
くつかの入力手順を必要とする。そのための前処理システムと自動生成システムをC++ と
OpenGLによって作成した。 そしてVI法と連続シルエット法を結合した樹木形状のボリ
ュームデータを作成するための新たな方法論を提案した。 この樹木形状は各樹木の3次元
形状を生成するための基になるデータとなる。入力画像の数を増やし、適切な写真が撮ら
れるならば、樹木の形状が再現できる事を確認した。事前情報として、いくつかの入力手順
を必要とするが、3次元樹木モデルに対する自動生成の過程は本研究で構築することができ
たと思われる。しかしながら、最終目的である枝構造を含む3次元樹木形状を生成するには
至らなかった。この点は将来の課題である。