3次元空間におけるナビゲーションシステムの作成

仲川訓

駅の構内やビルの内部のような狭く複雑な空間では、 現在地を見失いやすく、目的とする場所まで迷わずに たどり着くことは難しい。そこでこのような場所では、 入口や分岐点となる場所に案内板や看板等による案内 がある。しかし一度その案内図を見ただけで目的地ま での道のりを覚えるのは容易なことではなく、多くの 表示の中から必要な情報のみを選択し、それをたどっ ていくことは大変である。
パンフレットや情報誌は、持ち歩くことが出来、多く の情報と見やすく作成された地図により商店街やテ ーマパークといった場所では有効な情報源になる。 しかし、いつ、どこで、どんな地図が必要になるか わからない日常においては、必要になるものをあら かじめ予測して用意することはまずない。手軽にそ の場所の地図や目的地の情報を得ることを難しくし ている理由として、次の2つのことが考えられる。
 ・立ち寄る先々の詳細な地図を手に入れることの手間
 ・冊子体のものを持ち歩き、見ながら散策することの大変さ
この2つの欠点を克服し、携帯端末で手軽に利用できるようなナ ビゲーションシステムの提供を本研究の目的とした。本研究で 作成したシステムの特長は以下の3点である。
 ・3D表現により階層関係の把握や地形情報を認知しやすくする
 ・必要な情報の取得を容易にするために電子データを用いる
 ・空間内においてポイントとなる場所やランドマークを検索し、3次元地図内に表示させる機能を持つ
本システムは、多様なOSに対応するために、プラットフォームに依存 しないJavaのAPIであり、質の高い3Dグラフィクスを作成できるJava3D を開発言語とし、3次元地図と特徴的な空間やランドマークを作成し 設定を行うシステム(地図作成システム)と、そのシステムにより作成 された地図を参照するためのビューワーからなる。利用方法としては、 まず地図情報の提供者が地図作成システムによりPC上で3次元の地図 を作成する。地図の利用者は、あらかじめビューワーがインストールさ れた自分の端末へ必要な情報を読み込み、地図を参照する。様々な地図 が作成されれば、利用者は欲しいときに欲しい地図を読み込んで参照出 来るようになる。
本システムで実現できた機能は、インタラクティブな3次元地図の作成、 他の3D作成ツールで作成した3Dオブジェクトの利用、ランドマークの情 報の検索、表示である。今後の課題としては、地図作成システムの拡張、 携帯電話でビューワーが使えるようにすること、ネットワーク経由で地 図情報をやりとりできるようにすることなどが挙げられる。

(指導教官 松本紳)