G-XMLを用いたWeb-GIS

横山 仁美

GIS(Geographic Information System)とは空間とそこに付随する 情報を結びつけて管理・利用するためのシステムのことをいう。 今日までGISは専門的な業務分野に限定され、一部の利用者のみに 利用されてきたため、GIS各システムのデータに互換性がなく、 閉じたシステムとなっていた。
しかし近年の情報通信ネットワーク技術の発達やコンピュータや モバイル端末などの普及によりGISの可能性が広がり、GISが カーナビゲーション等の一般利用者の日常行動支援ツールと して普及してきた。また、それに伴いGISのためのデータ標準 として誕生したのがG-XMLである。
本研究ではG-XMLを用いたGISを構築し、G-XMLの一般利用層 への普及を目的とした。そのため、ブラウザのみで容易に利 用できるようにWeb上で動作するWeb-GISとし、機能は日常行 動において必要と思われる @任意の地点への情報の付加、 A地点に関連付けられるマルチメディアデータの登録/参照、 B略地図の登録/参照の3機能の作成を目指した。その概要は 次のようなものである。まず希望の地域を選択し、画面にベース となる地図を描画させる。そして情報を登録したい地域をクリック して情報を入力する。一方、その情報を参照する際には表示されて いるアイコンをクリックする。URLなどのデータが入力されている場 合はそのデータの表示部分にリンクが張られ、クリックすると別ウィ ンドウにそのURLの内容が表示される。略地図については範囲を指定し、 要らない情報を削除してから登録することで必要なデータだけを取り 出すことができる。
本システムにおいて、地図画像の表現にはG-XMLから変換の容易で あるXMLベースの2Dベクター画像記述言語SVG(Scalable Vector Graphics) を用いた。また、サイズの大きい空間データの処理のためにCGIより も実行時の処理速度が速いJSPとサーブレットを用いてサーバー・ クライアント間の処理を行っている。ユーザによるマウスイベント などの処理はJavaScriptで処理し、SVGによる地図上へのポイント マーク表示などを可能にした。
対応するG-XML要素は少し増加したが、今後の課題として移動体や 時間などの要素も対応できるようにすればリアルタイムの情報を 利用して移動するものの動きを管理できるシステムとなりえるだ ろう。また、あらかじめ地図上にランドマークや町名などを表示 しておき、表示区域の位置関係をわかりやすくすることも必要か と思われる。 このシステムの与える影響として、このシステムを一般の人々が 自分のコンピュータ上に構築したり、または利用者としてかか わったりすることでG-XMLの普及が高まり、ひいては空間データ の国際的な標準化が行われれば良いと考える。

(指導教官 松本 紳)