3次元モーフィングの研究

小杉 峰子

 近年,マルチメディアという言葉を耳にする機会が多い.家庭に もコンピュ ーターが普及して,より身近になったせいであろうか.様々なソフ トを利用して,個人でも絵を描いたり,曲を作ったりしている人も 多い.一方,必ずしも自分自身でコンピュータを操作しない場合で も,マルチメディアの恩恵を知らず知らずのうちに受けていること もあるであろう.例えば,TV番組のオープニングやコマーシャル にもコンピュータグラフィックス(CG)が頻繁に使われている. そのような中でコンピューターに縁のない人でも,モーフィングと いうものを一度は目にしたことがあるにちがいない.TV番組やコ マーシャル,映画等でCGを用いて人が動物になったり,ロボット になったりと自由自在に形を変えて,私達の目を楽しませている. これがモーフィングである.モーフィングという名はあまり知られ ていないが,映像処理の中で,特殊効果としてなくてはならない存 在となっている.しかし,これらの映像の多くはあくまでも2次元 画像に対して行われているモーフィングである.つまり,ある物体 が別の物体に変形しているように見える映像でも,実際は,ある視 点からみた物体の平面図を別の物体の平面図に変形しているだけな のである.
 そこで,本研究ではグラフィックスライブラリであるOpenG Lの各種機能を利用して、このモーフィングの機能を3次元オブジ ェクトに拡張し,ユーザーが簡単にその変形の様子を見ることがで きるインタラクティブなシステムをつくることを目的とした.また ,キーボードを使用せず,すべてマウスで作業を行えるようなユー ザインタフェースも作成した.
 利用方法としては ,初期設定画面においてこちらが用意した基 本物体の中から自由に物体を2つ選択し,サイズやスケール,色を 設定する.そして実行画面においてマウスを使って物体の変形・回 転・停止を行う.  なお、現時点ではモーフィングを行える物体が,基本物体とそれ を2つ組み合わせたものだけなので、今後の課題としてユーザーが 入力した物体や複数の基本物体を自由に組み合わせたものに対して も,モーフィングができるように拡張されるとより実用性の高いシ ステムになると考えられる.
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