コンピュータグラフィックスによる服飾デザインシステムの研究

田中英里子

 CG(コンピュータグラフィックス)という言葉は、一般の人に もよく知られている。テレビコマーシャル、映画、ゲーム、医学、 ファッション、工業デザインなど、わたしたちの生活に関係のある もののほとんどに、CGがなんらかの形で関係している。
 その一つであるファッションは、わたしたちの生活からは切り離 せないものである。しかし、たいていの人が普段着ている服といえ ば、既製品がほとんどであり、その場合、色、形、サイズ等が自分 の思い通りではないということがしばしばある。また、自分で好み に合わせた服をデザインすることも可能ではあるが、それは紙とい う2次元の世界の上では比較的容易だが、実際に、型に起こしてモ デルを作って3次元でデザインを表現しようとすると、服飾デザイ ンの知識をかなり必要とする。実際、わたしたちが洋服を着ると3 次元的立体になるのだから、3次元で表現したほうがそのイメージ が目に見えてわかりやすいと思われる。
 本研究では、そのような服飾デザインについての知識をもたない ものにでも、コンピュータグラフィックスを用いて簡単に洋服が3 次元でデザインできるインタラクティブなシステムの構築を試みた 。デザインするアイテムの選択、様々なサイズの入力や着丈の長さ の選択、洋服の模様の選択、そしてデザインした洋服の描画をすべ てマウスの操作によって行なえるようにした。本システムでは、サ イズ入力や洋服の模様を選択する初期設定画面を描画するプログラ ムの中で、トップス、パンツ、スカート、ワンピースそれぞれを描 画するプログラムを呼び出している。デザインの自由度という点で は、初期の目的が完全に達成されたとはいえないが、2次元で見る デザイン画よりも数段イメージがとらえやすいシステムが構築でき たと思われる。
 研究環境としては、ハードウエアはシリコングラフィックス(Sil icon Graphics)社製の3次元グラフィックワークステーションIN DY/INDIGO、サンマイクロシステムズ(SunMicrosystems) 社製のSunワークステーションを使用して行った。ソフトウエア としては、言語はANSI準拠のC言語を使用し、ライブラリにO penGLを使用した。そのために必ずしもハードウエアにとらわ れずにCとOpenGLが動かせる環境であれば、本システムを利 用することができる。
 現段階では、4つのアイテムの中から選択という形をとっている が、アイテムを増やしたり、ポケットなどのオプションを増やすこ とによって、より自由なデザインができるようになるものと思われ る。また、テクスチャマッピングによって処理能力が低下してしま うが、この点が改善されれば、より使い勝手のよいシステムになる のではないかと期待される。
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