仮想美術館の試作

吉田 麻樹子

 多くの人は実際に美術館に足を運び、絵画に触れる機会を持つこ とはほとんどないよう に思われる。その要因として、美術館まで足を運ぶことが面倒だっ たり、絵画の鑑賞をす るまでに時間がかかること、さらに、好きな画家の描いた作品を見 たいときに見ることが できないといった点があげられるだろう。特に、東京のような大都 市では多くの美術館が あるが、地方都市や山間の村落では近くに美術館がないといったこ ともあるであろう。一 方、近年のパーソナルコンピュータの普及により、インターネット や様々なソフトによる ゲーム、また利用価値のあるツール等を、大人から子供まで誰にで も簡単に利用できるよ うになってきているのも現実である。この芸術鑑賞離れとパーソナ ルコンピュータの普及 に伴うコンピュータの浸透性を利用し、コンピュータ上で仮想的な 美術館を作成すること で実際に美術館に行くことなく好きな作品をいつでも、そして簡単 に鑑賞することが可能 になると思われる。
 そこで本研究では、シリコングラフィックス社製3次元グラフィ ックスワークステーシ ョン INDY / INDIGO の OpenGL の各種機能を用いてCGによ る仮想の美術館を作成し 、その中をウォークスルーできるシステムを実現させることを目的 とした。本システムは おおまかに初期画面と美術館内の移動画面から成り立っており、初 期画面で好みの絵画・ 写真を展示した美術館を選択することで、その美術館を移動画面の 中で自由に動き回るこ とができる。また、システムにおいては初期画面と移動画面を2つ のウィンドウにしたこ とで、汎用性をもたせた。
 本研究では形状の異なる3つの美術館を作成した。全てのオブジ ェクトに対してテクス チャ・マッピングを施しているが、テクスチャとして使用する画像 データの数が増えるこ とで処理速度が落ちるという問題点をかかえている。また、取り入 れる画像の画質・解像 度であるが、どんなにコンピュータが進歩してより現実的に絵画を 再現できたとしても、 本物には劣るということは解決されない問題であると思われる。
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