94107 阿部 麻利子
近年、コンピュータの普及には目ざましいものがあり、他の
電化製品のように各家庭に1台とさえ言われている。また、教
え込む教育から育てる教育へ移行しつつある教育現場でも、そ
の道具の一つとしてコンピュータが多いに利用されている。公
立中学校におけるコンピュータ設置率はほぼ 100% に近いとい
う現状である。このような環境の中で育ち、コンピュータとい
うものをとても身近に感じていると思われる中学生を対象とし
て空間図形を学習するためのシステムを作成した。
「空間図形」は中学1年の数学で取り上げられている項目の
一つである。3次元空間での立体の形や、体積、表面積、及び
立体のいろいろな見方について学習する。一般には、3次元空
間を扱っているにもかかわらず2次元的な教科書上で解説され
ており、理解し易さに欠ける。また補助教材として、模型を作
成する方法があげられるが、これは手間がかかる上に正確さに
欠ける。学校の先生は模型を使って授業をすすめるが、実際に
生徒一人一人が模型を手にとってじっくりと眺めることは不可
能である。
そこで、3次元コンピュータグラフィックスを利用する事に
より、3次元立体図形を学習者が好きな方向から眺めたり、展
開図から立体ができるまでの過程を見ること等によって「空間
図形」を学ぶときの基礎的な部分、つまり「立体の形」を学習
者が容易に理解できるシステムを作ることを目的とした。
本研究では、3次元コンピュータグラフィックスの標準的な
ライブラリである OpenGL を用いてシステムを作成した。内容
的には、基本図形といわれる4つの図形の展開図と断面図、4
種類の回転体と、5種類の正多面体、の4つの項目を設定して
いる。主な操作はマウスによるボタンクリックで行われる。ま
た、マウスのドラッグで自由に図形を回転させることもでき、
模型を手にとっていろいろな角度から眺めるのと同じ感覚で、
システムを利用することができる。