3次元CGによる立体道路地図システム

近藤 恒

 近年、コンピュータグラフィックスを用いた地図情報というも のも一般的になりつつある。例えば、カーナビゲーションシステ ムやCD−ROM版の地図等がある。しかしこれらの多くは2次 元マップであり、実際の建物の高さや道路の高低を加え合わせた 3次元マップには必ずしもなってはいない。このため利用者は、 2次元の情報と実際の風景とを比較しなければならなくなる。一 般に3次元情報を2次元情報にする事は容易であるが、2次元情 報から3次元情報を得るのは困難である。そこで3次元グラフィ ックスを利用し、コンピュータ上で3次元立体地図を作成すれば、 単に2次元の地図を理解して道順を覚えるよりも記憶し易いので はないかと考えた。
 本研究では、シリコングラフィックス社製3次元グラフィック スワークステーションINDY/INDIGO 上で、グラフィ ックスライブラリ OpenGL を用いて3次元立体地図を作 成した。そして単に地図を立体的に表示するだけではなく、その 中を実際にウォークスルーしたり、あるいは道順をあらかじめ設 定してドライブをシミュレートできるシステムを実現させる事を 目的とした。
 本システムは2次元マップシステムと、3次元シミュレーショ ンシステムから成り立っている。本来ならば既存の2次元マップ のデータを用いてそれを3次元化する方が効率が良いかも知れな いが、データの形式上そうたやすくはない。そこで本システム用 に2次元マップを作成し、目的地までの道順を登録するためのシ ステムを作成した。これが2次元マップシステムである。このシ ステムは、コンピュータの苦手な人でも扱えるように、マウスを 使うだけで簡単にマップが作成できるようにしてある。建物や信 号機等のキャラクターをメッシュ上に張り付ける事で2次元マッ プを作成し、道順の登録も同様な方法で行う。ここで作成された マップのデータが3次元シミュレーションシステムに引き継がれる。
 3次元シミュレーションシステムでは、ポリゴンで立体物を描く 事により3次元の世界を表現している。マウスの操作によりこの 中をウォークスルーする事が可能であり、登録した道順を外れる と警告が表示され、同時に正しい道順が表示される。このように、 自分の記憶を試しつつ確かめる事により、より正確に道順を記憶 できると思われる。  本システムの問題点として、道路の高低は今のところ表現でき ないため、坂道や立体交差などは表現できないことが挙げられる。 また、カーブのある道路も表現出来ていないのでこれらを表現す る事が必要である。そして、表現できる建物の数を増やし、テク スチャー等を用いてより現実に近い風景を再現する事等が今後の 課題である。