LaTeX 文書変換システム

鈴木 牧子  

文書整形システムLaTeX (ラテフまたはラテック)は Leslie Lamport 氏が 開発したシステムで、TeX (テフまたはテック)から派生したバージョンで ある。TeX はスタンフォード大学の教授であった Donald E.Knuth 氏が 技術文書の作成を目的に--- 特に数学テキストを組むために ---開発した、 文書処理システム環境の一つである。
LaTeX はTeX と比較すると機能性と使いやすさに重点を置いたシステムで、 ユーザが文書整形にかける手間をより省けるようになった。TeX と同様に数式を きれいに書けること、レイアウトに関して文書スタイルの指定のみで自動的に 処理してくれることなど、様々な便利な機能を持つこともあり、 飛躍的に利用者が増えている。
しかし、LaTeX の初心者や使い慣れないユーザにとってはLaTeX も多くの コマンドを持つので、それらを使いこなすのは容易なことではない。 また、一般のユーザも頻繁に使うコマンド以外は忘れてしまうことがある。
そこで、本研究では、GUI(Graphical User Interface)を用いることによって、 コマンドについての知識があまりない ユーザであっても、容易にLaTeX 文書の作成ができるようなシステムを構築した。 すなわち、LaTeX の様々なコマンドの付加をボタンのクリックやマウスによる 文字列の選択、テキストへの入力などの操作で可能にするものである。各コマンドの 付加を行うためのサブウィンドウでは、必要なテキスト入力やメニューの選択など ユーザとの対話形式でLaTeX 文書へ変換することができる。また、作成した 文書を保存、その整形結果を確認するというプレビュー機能も備えているため、 必要に応じて修正を行うことも可能である。さらに使いやすいシステムにするため、 ヘルプ文書を作成し、コマンドの機能やシステムの操作方法も各サブウィンドウから 参照できるようにした。
今後の課題としては本システムでは網羅することができなかったLaTeX の他の機能を 追加することが挙げられる。例えば、数式中の行列の表現、表の作成、図の描画や 画像ファイルの挿入などの機能は本システムには含まれていない。 しかし、これらは工夫次第で容易に拡張できるものと思われる。 本研究における使用機種はSunの汎用ワークステーション、使用言語はC言語である。 また、GUI構築ツールとしてOSF/Motifを使用した。そこで、OSF/MotifとC言語を 利用できる環境であれば、どのようなコンピュータであっても移植が可能である。 ただし、フォントの設定など、多少の変更を要する。