地域情報交換のための地理情報システムの作成


羽 床 早 織
 

 今日、グルメ情報や観光情報などを提供するいわゆる情報誌や情報番組といっ たものを多く見かける。それらの情報は情報提供者側からの単方向的なものであ り、情報を享受する側の「このような情報が欲しい」という要求を満たす双方向 型の情報提供ではない。情報とは様々な定義のされかたをしているが、日常生活 を行う上で複数人と会話を交換し合うことにより得られる情報というものも大切 な情報の一つであり、これらは双方向型の情報であるといえる。
 そこで、本研究ではこの双方向型の情報を利用者に提供するためのシステムを 構築することを目的とした。その概要とは次のようなものである。つくば市主部 を対象とし、地域住民に建造物、地域の情報についての評価、コメントをしても らい、またそれを新しく移り住む人々の情報源として活用できるようなシステム を構築した。各画面にて、地域内の位置関係を把握できるように3次元地図に対 象とする地域建造物と地域の目印となるランドマーク的建造物を描画し、その中 をウォークスルーできるようにした。それと平行してメニュー画面と情報画面を 用意し、検索対象物がどこにあるか、またそれと同じカテゴリの建造物が地域内 にいくつあるか、またそれらの情報や利用者からの評価・意見を情報画面に表示 できるようにした。
 本システムにおいて、地理情報システムという地図情報と建造物などに付属す る情報を組み合わせて新しい情報を得ることができる技術を利用すれば、地域の 情報を効果的に提供できるのではないかと考えたため、本研究で利用することと した。また、近年のインターネットの普及は目覚ましく、新しいメディアになり つつあるといえる。この媒体を利用することにより、利用者に情報を提供しやす くなるであろうと考え、本システムをインターネット上で公開できるよう構築し た。そのようなことから本システムは3次元グラフィックスを描画する手段とし てVRMLを用い、また情報画面へのアクセスにはCGIを利用している。  検索対象物としてコンビニエンスストア、病院、歯科医院の3つを取り上げた が、今後の課題としてこれらの対象物を増やしていけばよりよいシステムとなる だろう。また、今回の研究では新たに建造物ができた場合の対処法についてまで 考えることができなかったことも今後の課題として残る。
 本システムが与える影響として、地域住民の意見交換の場として利用された り、新しくその土地に住む住民が地域情報を容易に得ることができるようになる ことが期待される。