空間図形学習システム


菅野 里美

 近年、教育現場でもコンピュータ整備が進められ、学校にコンピュータ等のマ ルチメディア導入が急速に進められている。今日ではすでに全ての公立中学校に コンピュータが整備されたと言っても過言ではないほど普及率は高まっている。 教育にコンピュータを取り入れることで、教育目標を阻害してしまうのでは、と 言う考え方もできるが、コンピュータ利用の有無それぞれの良さを見抜いてうま く使い分けることができれば、教育におけるより良いコンピュータ利用が実現で きると思われる。
 本システムでは中学一年の数学で取り扱われる「空間図形」を取り上げた。出 題された図形を理解するのは実際に3次元の世界に存在する立体を見ることが一 番理解しやすいわけであるが、一般的には教科書や黒板上での2次元の投影した 図から3次元図形を想像するしかない。教師が模型を使って説明したとしても、 一人一人が手にとってじっくりと見ることは難しい。
 そこで、3次元コンピュータグラフィックスの標準的なライブラリである OpenGLを用いて図形を描画する図形学習のためのシステムを作成した。本システ ムでは基本図形である4つの図形の展開図と断面図、4種類の2次元図形から生 成される回転体を描画している。学習者はキーボードから打ち込んだ数値を基に 図形を変化させて、出題された図形に近い形の図形を見ることができる。また、 基本操作はマウスによるボタンクリックで行われ、マウスをドラッグすることで 自由に図形を回転させることができる。
 しかし本システムで用意している図形だけでは、完全に「空間図形」の範囲を カバーしてはいない。学習者が望む、任意の図形に対して本システムの機能を用 いることができれば、より学習者にとって使いやすいシステムになるだろう。ま た、本システムはOpenGLを扱える端末で使用できるが、OpenGLは、ウィンドウシ ステムに依存しない独立したライブラリである。よって目的のプログラムは、 XWindow System(UNIX)とWindows95(もしくはNT)の両方で動くので、移植は 容易である。よって、今後はますます普及していき誰でも気軽に本システムを利 用できるようになるのではないかと思われる。