JavaとVRMLによる構内案内システム

 西原 礼子


私達は、「行ってみたい」と思う「場所」に、必ずしも迷わずに行けるとは限ら ない。例えば、「テスト会場が広くて、事前に行って見ないと不安である」、「平面 的な地図では理解しにくいから一度訪れておきたい」と思うことはよくある。しか し、時間的都合や、距離的都合などにより、何らかの理由でこの様な事前の訪問を 断念せざるを得ない場合も多い。その様な時、私達はWWW(World Wide Web) を利用して自分の欲しい情報、この場合、訪れたい場所の情報を得ることが出来る。 しかし、WWW上で公開されている情報の多くは「平面図」や数枚の「写真」に よるものであるが、この様な平面的な情報については十分な満足が得られない。 本研究は、建物の情報(位置情報、配置情報)を3次元で表現し、建物内の様子 を仮想的に体験できるシステムの構築を目的としている。その例として本システム で取り上げた構内は、図書館情報大学の一部とした。
WWW上で標準的に利用されている3次元表現言語であるVRML(Virtual Reality Modeling Language)と、VRMLとの相性もよく、シンプルで強力、プラ ットフォーム独立等の特徴を持つオブジェクト指向言語であるJavaを融合するこ とで構内案内システムを構築した。
VRMLで表現された「図書館情報大学」は、ブラウザについているプラグイン の機能を利用して、簡単にかつ自由にウォークスルーすることが出来る。そして、 その「大学」内での特定のスポットに行きたい時、そこがその「大学」内のどこに 位置しているのか把握していなくても迷うことなく辿り着けるように、Javaで作 成した検索画面から目的地を選択することにより、目的地までの誘導矢印を表示す る様にJavaで制御した。
本システムを利用することにより、初めて訪れる場所のどこに何があるかを把握 することができ、当日、迷って焦ることもなく、安心して訪れることが出来ると考 えられる。本システムは、マウスのみの操作、矢印によるわかりやすい誘導、検索 画面の項目による目的地選択方式等といった簡単な操作で利用できる。しかし、任 意の場所からの誘導ができない、平面図がなく構内全体との位置関係が一度に把握 できない、リアリティーに欠ける等の改善すべき点も多々ある。今後、これらを改 善し大学全体が表現されれば、よりリアルなものが実現できる。また、構内の対象 を変えれば、他の大学や施設の案内システムとして活用することもできる。さらに、 構内から都市へと規模を拡大すれば、3次元地図による都市案内システムなるもの も将来的には実現できるであろう。