XMLを用いたCAIシステムの開発

大原雄介


XML(eXtensible Markup Language)はインターネット上で文書データ交換及び配布 する際の、標準となる可能性の高いマークアップ言語である。これまでインターネッ ト上のWebで管理するデータ形式は、HTML(Hyper Text Markup Language)で記述し たものがほとんどであった。しかし、Webで管理するデータの種類の増加により、長 期保管のデータ、改訂が入るデータ、再利用を前提としたデータなどを扱うことになる とスタイル指定が中心で、タグが固定であるHTMLはこれらを扱うには向いていない。
 XMLはHTMLのように既存のタグを用いるだけではなく、自分でタグを定義すること ができ、意味のあるデータを作成することが出来る。これは、アプリケーション側が データの内容によって違った処理を行う場合に、データの属性を細かく分類すること を可能にしている。
まだ仕様の一部が固まっていないXMLを理解・研究する際に、実際にデータを扱い今 後の利用価値・発展、既存の言語であるHTMLなどと比較しどのような特長・問題点が あるかを考察する。
本研究では日本史のデータベースを構築し、そのデータを用いて歴史年表や小テスト などをWeb(ブラウザ)で利用できるCAIシステム(Computer Aided Instruction) を、XMLを用いて開発した。実際に、年表の情報・人物の詳細情報・小テストの問題 をXML化しHTMLとJavaScriptを組み合わせ、webで利用できるシステムを構築した。作 成した年表などのデータは、更新・保存が容易に行える形に作成することができる。 ブラウザで利用できるため操作性がよい。人物ごとの情報を得ることができ、違った 視点で学習することが出来る。などの特長をもつシステムを構築することができた。 問題点および課題としては、使用ブラウザを限定しなくてはならない点や、 JavaScriptを用いたためにファイルの入出力ができない点などがあり、これらは今後 改善していくべき点である。
データ部にXMLを用いたことにより、データが細分化されておりJavaScriptで検索や 添削などの処理をする際も、処理がしやすく、機能の追加が容易である。開発環境の 未発達や、スタイル指定でHTMLより劣るなどの問題もあるが、XMLの汎用的なデータ 記述言語としての今後の利用価値及び発展性は十分にあると考える、また、XMLと HTMLは使用目的・特性等を考慮して使い分けをしつつ、補完的な関係で共存するべき であると思われる。