Sep. 29, 1995 H. Hasegawa

 研究発表の心構え 


 以前、みなさんが言っていたことを長谷川が勝手に書き直しました。
押しつけがましくいう気はありませんし、教官のなかでもいろいろな意見が
あるので、講座としてこうしなさいと決めているわけでもありません。
最終的には指導教官とよく相談して決めることになるでしょうけど、
いろいろと「悩んで」みてください。

 ただし、「練習をする」、「時間を守る」などのように議論の余地の
ないものもあります。下手なら下手なりに「聴衆にわかるような発表」を
心がければ、十分立派な発表になることでしょう。


はじめに

  ・発表は、自分がなぜなんのために何をどうやって{行った|行って
   いる|行っていく}のか(要するに、5W1H)をまとめることです。
  ・内容が大事なのはもちろんですが、発表の方法もまた大事です。
  ・発表は「聴衆にわかってもらうよう、OHPなどの視聴覚機器を
   駆使して行う」もので、レジュメの朗読会ではありません。
  ・発表(の準備)は自分のテーマについてより深く理解する機会であり、
   また聴衆から自分が気付いていなかった問題点を指摘してもらえる機会
   でもあります。
  ・発表も質問もお互い手加減せずに全力投球しましょう。


(0) 準備
  ・どうするかを良く考えてください。工夫が大事かもしれません。
  ・発表では、「うまくいったこと」、「達成したこと」が主ですが、
   ときには失敗したことが重要な意味をもつことがあります。だから
   といって、余計なことを言う必要はありません。
  ・準備とはレジュメの作成ではありません。
  ・時間を守り、内容を充実させるためには、発表練習が重要です。
   ビデオにとって見直すのも効果的です。
  ・練習は誰かに聞いてもらって質問を受けるとよいでしょう。
  ・出てきそうな質問を予測して、それを発表に入れるなり、質問を受けた
   ときに的確に答えられるようにしておこう。


(1) 時間
    ・発表は一人あたり12分です。実際、11−13分に収まるように、
   準備してください。大幅に超過した場合、司会者によって強制的に終了
   させられたり、アンコールになったりします。
  ・定められた時間に合わせて内容を取捨選択するのも大事なことです。


(2) レジュメ
    ・必要ならレジュメを補助的に用いて発表するといいでしょう。ただ、
   配布資料に頼らず発表するべきだという考え方もあります。
  ・レジュメは読み上げるものではありません。
  ・レジュメの記述は具体的かつ簡潔にとどめ、書きすぎないようにしよう。
  ・A4版を用い、「題目・氏名・所属研究室・日付」は必ず記載してください。
      大きな図表は、A3版で作成して折り込むのがよいでしょうし、両面コピーを
      活用するのも一つの方法です。
  ・色もひとつの情報です。
  ・書き終えたレジュメは、誤字脱字をチェックするため疑って読んでみる。
  ・過去のレジュメは2講共同研究室にファイルしてあります。禁帯出です。
  ・あがる人は、話の最初のところだけは配布資料をそのまま読んでも
   いいでしょう。
  ・どうしても読み原稿が必要というなら、別に読み原稿を作ること。


(3) 「図書館情報大学卒業研究論文執筆の手引き」
    ・卒業論文では、引用文献の形式はSIST−02に従うことになって
      います。レジュメも同形式にまとめる練習をしておくといいでしょう
   (形式が統一されいない過去のレジュメを安直に真似しないこと)。
    ・引用文献の書き方については「図書館情報大学卒業研究論文執筆の手引き」
   という文書があります。レジュメ作りにも役立つことでしょう。
    ・入手方法は、2講共同研究室の「2講中間報告94」というファイルを
      参照してください。ただし、原本のファイル自体を持ち歩いてはいけません。



(4) OHP
  ・OHPは、図や表などを示すために補助的に用いるものではありません。
  ・OHPによる提示をうまく使いましょう。一瞬で次のシートに移ったり、
   暗い部屋にシートの載っていないOHPがボーっと光るのは考えものでしょう。
  ・「どこの話をしているのか」がわかるように、スクリーンを指し棒で
   さしたり、シートの上にペンや紙を置いたり、レーザポインタを使ったりする。
  ・印象を深めるために、その場でOHPに書き加えても良い。
  ・OHPの文字は大きくする(30ポイントくらい)。フォントの使い分けも重要。
  ・文字が細かくなったり、図が複雑になったりするときはレジュメを使うとよい。
  ・パソコンのプレゼンテーションツールとか、模型を使うの効果的です。
  ・色情報、動きの情報(VTRとか)も活用するといいでしょう。


(5) 話し方
  ・大きな声で聞こえるように話す。速さ、明瞭さにも注意しよう。
  ・できれば聴衆の反応をみながら話すと良い。
  ・質問者は発表者を向いて質問をしましょう。回答は(助け船を利用したと
   しても)発表者自身でしましょう。
  ・自分の研究に関しては、自分がいちばん良く知ってるのだから、自信を
   もとう。


(6) 質問
  ・理解を深めるためにも積極的に質問をしよう。
  ・発表者は自分の忘れていた視点に気付くかもしれない貴重なチャンス
   だから、よく考えて答えよう。
  ・全然考えてもいなかったことを聞かれるかもしれないが、そんなときに
   口からでまかせで答えず、とりあえず「わからない」と答えておき、
   あとでじっくり考えて報告するようにしよう。


(7) 余談
    ・「図書館情報大学卒業研究論文執筆の手引き」は当時の4年生に作って
   もらって、すでに10年が過ぎ去ってしまいました。
  ・ そろそろ LaTeX ででも作り直して、  WWW で PS ファイルを見れるような
   オンライン化ができないものかと考えています。
  ・ Mosaic で見られるようになると、「熱心な人は紙でもつ」が、
   「ちょっと見ればいいという人は Mosaic を使う」ことでしょう。
  ・だれか作ってくれませんか?
  ・最後に、石塚先生のお言葉「ただし、ツールばかり作って、肝心の論文
   執筆がおろそかになっては本末転倒ですよね。」はお忘れなく。


以上。

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