Photo by Tsuri Saito

Message

 身体の内側から湧き起こるイメージに導かれながらおのずと現れる、こえ、うた、まい、いのりといった身体知の芸術表現は、本来の自分に対する気づきを呼び起こします。その気づきはやがてこう在りたいという自己の確立へと繋がり、同時に共通する人間性への気づきを通じて他者への思いやりと慈しみを育てます。
 現代には、生きづらさゆえに自身の声が出せなくなった人々、あるいは社会適応の末に本当は自分が何をしたいかという感覚が鈍くなった人々が教育・仕事・生活のあらゆる現場にいるという実感があります。AIがコモディティ化するこれからの時代は、AIの平均的な出力によって私たちの感覚を鈍化させるのではなく、私たち一人一人が異なる身体を持ちそれぞれの感性があるのを認識し、自身の源とつながることで「自分の価値基準が何であるか」「自分がどう在りたいか」など知ることが肝要です。
 芸術療法と身体知教育を応用した身体の芸術表現にはこうした変容を身体レベルで非言語に無意識に起こすことができます。松原研究室では、そのような意識変容のプラクティスを集め、理論に基づくモデル化を通じて型ことば・ボディワーク・体験型カリキュラムの開発を行い、時間や空間を超えて必要としている人へ届けることを目指します。

Profile

松原 正樹 (Masaki Matsubara)


筑波大学 図書館情報メディア系 准教授
人間総合科学学術院 情報学学位プログラム
情報学群 知識情報・図書館学類


2013年博士(工学)慶應義塾大学。筑波大学図書館情報メディア系副主任研究員、特任助教、助教を経て2021年より同准教授。2019-2020年仏CNRS訪問研究員。身体性認知科学の観点から芸術療法や身体知教育の研究に従事。芸術の場に身体を委ね、感興の赴くままに表現することで、自身のあり方や他者との相互依存性に対する意識が変容していく過程に興味を持つ。


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CROCUS: Dataset of Music Performance Critique
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