色の名称の由来について



1.研究目的


研究の動機は自分の好奇心です。
色の名称の中には植物や動物などの名を使ったものが多くありますが、私達が普段よく目にする 代表的な色の中には、由来と言われるとすぐには分からないものがいくつかあります。それを調べる ことによってより深く自分達の文化を知ることが出来るのではないかと考えました。
そこで私達のよく知る虹の七色に黒・白を加えた九色の由来について調べることにしました。



2.研究方法


図書、及びインターネットによる関連サイトの検索。

3.結果

色名のアカは、暗(クロ)に対して、明(アケ、アカ)を語源とされ、上代では赤紫から赤、橙、 黄をも含む暖色系すべての色に用いられたといわれる。日本ではアカを表す文字に、大いに燃える 火を意味する赤という漢字をあてたが、漢字の本家の中国では紅(ホン)である。赤は多くの人に とって魅力的な色であり、古来呪術的な意味合いでも用いられ、現在でも慶祝の意味で用いられる。

オレンジも橙もミカン科の常緑小高木であり、その果実の色が基本色名になっている。果実由来。 代々、とも書かれるのは、橙の果実が二年以上も木になっていることがあり、二、三代目の果実が その年の果実に混ざることがあるからである。

万葉集に見える紅葉の多くに黄葉が当てられているが、赤から黄を含む広い色合いを指したもの で、上代の黄という色名は、幅広い赤の範疇にあったようである。『延喜式』では刈安染による深黄 ・浅黄があり、他に鬱金、支子などにより黄を染め出した。

中国では黄は帝王の色であったが、日本では高位な色ではなかった。

古代では寒色系統を総括的にアオと呼び、草木の緑系統の色もアオである。後の平安時代以降には、 木の芽や若葉の色に萌黄を用いることが多く、緑色は『万葉集』や『延喜式』の中にもみられるが、 用いられることは少なかった。

日本の伝統色名には、宝石・動物・鳥に由来する色名が少なく、植物的な発想に基づいているものが 多いが、固有色名より漠然とした萌黄や若草色などの色名が多く使われる。

アオ(アヲ)は顕(シロ)に対する漠を語源とし、古くは黒から白に至る広い範囲の中間色を 示す色であったとする説がある。一方アオは藍からの由来とする説もある。日本人は、アオに青の 文字を当てたが、空や海のブルー系統の色の他に、草木のグリーン系統の色をも青と呼んできた。 我が国では、青色は、原始的な露草の花による染め出しの後は、ほとんど藍染によって染め出された。

染色に使われた植物である藍が由来。古来青系統の色の染色は藍を中心に行われてきた。江戸時代 には江戸前の色として藍の付く色名が多く用いられた。

日本では古代から紫草の根で染められ、常に臣下の最高位を象徴する別格の色であった。濃い紫色 を出すのに手間ひまがかかったためである。また平安時代に、紫色は気品・風格・優雅・なまめかしさ ・あわれというような当時の人にとって、あらゆる美の条件を備えた色の王者であったので、単に 濃色、薄色、などというときも紫系統の色を指した。江戸時代においても紫は好まれた。

しる(著、徴、験、顕)しと同語源。一番単純な色彩分類では概ね明と暗に対応する色彩語と 言われ、それが明から白と暖色系(赤はこちらに入る)に分かれ、暗から黒と寒色系に分かれたと される。

シロと共に、最古の色名である。ほぼ必ずと言っていいほど白と黒はセットになっている呼び方 で、全世界に共通と思われる。語源もまたまったく対極であり、暮れる、暗しが由来となる。

4.考察

やはり感じられたのは、中国からの影響のあまりの大きさです。

日本に植物由来の色名がほとんどであるのは染色技術が発達しているからであり、その技術は 中国からもたらされました。「色」に名を与えて区別するという考え方が生まれたのも中国を模倣 した律令国家誕生の折に、中国の五行思想に基づく五色の色が入ってきたのが始まりで、色に使われ ている漢字ですら元々は中国のものです。

そのすべてがもちろん中国原産というわけではありません。様様の技術にはおそらくもっと西方 から伝わったものの影響があるでしょう。

正直調べ終わった後は、まず私達が調べようとしていた「自分達の文化」というものがどこから どこまでなのか、というものを改めて考えさせられました。突き詰めていくと「世界は一つ」等と いうことになってしまいそうですが、「色」というどこの地域にもあるであろう概念一つとっても、 まったく同一ということは決してありませんでした。

「色」というものを二種類でしか区別しない国があり、同じ色から受ける印象も地域によって 様々です。「日本に植物由来の色名がほとんど」というのも立派な日本の文化であると改めて感じ ました。

5.謝辞

同じグループとして一緒に調べました中川さん、長谷川さん、個人的な事情により限られた時間 が更に限られた上での活動でしたが、お疲れ様でした。完全な出来とはいえませんでしたが、きちんと 形になったのはお二人のおかげです。

6.参考文献

・「色の名前」     近江 源太郎
・「世界大百科事典」
・「京都市染織試験場 データベースシステム」http://210.134.100/SenshiDB/dejault.html