2022年度卒研生の面談期間は終了しました。面談にお越しいただいた皆様、ありがとうございます。大学院進学希望の学生が多かったように思いますが、小生は来年度で筑波大を卒業します。じっくり考えて研究室を選択されることを祈念しています。
1. 概要
2. 指導可能な研究領域
コンテンツ工学(Content Engineering) - 情報アクセスの単位となるコンテンツとその著者、作成日などのメタデータ(属性情報)とから、それらの間の関係性を明らかにするとともに、豊かな情報化社会を実現するために活用する方法論を確立する。ネットワーク情報時代にふさわしい情報流通に取り組む『実践重視』の研究室です。卒研生は卒業前に学会発表することを目標とし、ゼミの先輩は全員が目標を達成しています。コミュニティ分析、ロケーションアウェア、ソーシャルキャピタルなど情報学(コンテンツ工学)の進展はめざましく、その面白さに長く接していただくために進学希望者を優先しますが、学類卒でも老舗企業からスタートアップ企業まで、就職先に困らない指導を受けられます。より詳細な情報は研究室Wikiを参照ください。現在取り組んでいる主な研究対象を以下に示します。
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- A) 分析系:知識コンバージェンス
- 生活者が自ら発信する多様な情報から私たちの生活に役立つ知識を抽出する手法、抽出した知識を収斂・集約して新たな知識を創成する手法を研究しています。佐藤研究室で自主収集した210億ツイートや、研究者コミュニティに公開されている情報学研究データリポジトリやStanford大学のSNAPなどを活用し、実生活に有用なツイートを抽出する手法やコミュニティQAの知識を用いて検索エンジンに入力するキーワードの想起支援などの成果を上げています。
- B)分析系:ソーシャルキャピタルの変容過程の解明
- 20世紀の大量生産・大量消費の時代には土地や資金などの「モノ」が富を生産する資本でしたが、21世紀の情報社会では、「人」や「モノ」の間の関係性、営まれる「コト」が重要となってきています。このような「コト」に関する資本は社会関係資本(ソーシャルキャピタル)と呼ばれ、研究の一大潮流となってきてきます。人々の協調行動を活発にすることによって社会の効率性を高めることのできる、『信頼』『規範』『ネットワーク』といった社会的仕組みとその変容過程を明らかにしています。工学的なアプローチを推し進めることで社会学あるいは社会科学の課題に挑戦し、コミュニティを活性化する『聞き役』ユーザの発見などの成果を上げています。
- C)開発系:情報環境の構築研究
- 人と人が繋がることで価値が創造される情報化社会では、人とシステムの関わりが複雑となり人が情報と関わる情報環境の重要性が高まっています。どのような環境を提供することで、個人の創造性やコミュニティの協調性が高まるのか、これまで、身近な情報環境である「教室」すなわち学習環境をオープンかつインタラクティブな協調作業空間とすることに挑戦し成果を上げています。
- 上記のテーマに関わらず、データ工学や情報検索、テキストマイニングなどの工学的方法を用いて、社会で起きている様々なコトを解明し、新たな枠組み・方法を提案することに興味のある学生を歓迎します。
3. 研究指導のポイント
- 研究室は「発想エンジン」
小さなアイデアを実際に試してみながら大きなアイデアへ広げていく、
- 議論と試行錯誤のスパイラルによって『本物』を生み出す研究環境を提供します。
- そこにいるだけで刺激を受けられる「メッカ」では、何気ない会話の中に発想のヒントがたくさんあります。
- 研究室は「成長エンジン」
問題を発見・解決する力、人を説得する力は、経験を積むことで身につくもの、
- あなたの研究活動をサポートするだけでなく『あなた自身』を成長させる賑わい研究室です。
- 研究室は「万全サポート」
研究に必要なコンピュータ、専門書はしっかり確保!国内外での研究発表で必要な参加費はもちろん旅費や宿泊費も支給!
- 自分専用-PC、プレゼン・利用者実験用Note-PC、高性能サーバ(Linux)も充実。
- 経済面など研究に専念するための相談にも乗ります。
4. 研究をすすめる上で望まれる条件
- 社会勉強になるアルバイトも大いに推奨しますが研究室に毎日顔を出せる人を歓迎します。最低でも週3日(全体ゼミの日、輪読・実践ゼミの日、個別ゼミの日)は大学に来ることが求められます。
- 毎週開催のゼミ日程は授業履修を最大限尊重して全員の合意で決めます。通常の授業と同様に7割以上の参加が「卒論」単位取得の十分条件です。ゼミの基本は「One
for All, All for One」、座っているだけではゼミに参加していることになりません。
- スピードは力なり:mailやslackなどの研究室内情報共有ツールは24時間以内に返信しないと「了解」したこととして話が進んでいきます。
- 情報関係の基礎・応用科目やプログラミング関係の科目を履修していると研究をスムーズに始められますが、未履修でも必要に応じて配属後に修得すれば大丈夫です。
5. 年間スケジュール
- 定例ミーティング(週1回): 各自の研究報告,研究談話,重要な論文の輪講 (と 遊び の相談)
- 個別コーチング(不定期):基礎体力向上のためのスキル・メンタルの両面から指導
- 12月~3月(頭の体操)期:研究って何をすることなのかを理解する。専門書の輪読や幅広く文献を調べながら「本当にしたいこと」を明らかにしていく。
- 4月~6月期:前期で得らた研究の方向感にしたがって、関連研究の更なる調査、目的・目標に到達するための研究シナリオを作る。平行してプログラミングスキルを向上する実践ゼミを行なう。
- 7月~10月(体の体操)期:ひねり出したアイデアを実装して評価・検証する。
- 11月~3月期:収穫の季節。成果を論文にまとめる。全国大会や研究会、国際会議に参加して、研究成果を披露することで,フィードバックを得つつ1年間の研究を総括する。
- 非日常: 日々の研究だけでは自分の立ち位置を見失ってしまうかもしれません。いつもと違うフィールドで勝負することで、自分を確認し新たな挑戦へのアイデアを深耕しましょう。卒業研究着手発表会(6月中旬)、他大学との合同合宿(8月下旬)、学会発表(2月下旬)の機会を活用しましょう。最初は学内のメンバーと,次は半分学外のメンバーとのディスカッション,仕上げとなる学会発表は,他の参加者はほぼ全員が初めて、でも自分の興味と近いメンバーとの研究ディスカッション、深夜までの懇親会、緊張するけど自信が付くこと保証します!
ゼミ風景
7D205研究室 |
他大学との合同合宿など |
八王子ゼミ
(2018/8/12-13) |
熱海ゼミ
(2017/9/10-11) |
ゼミ生の日常 |
エクスカーション
(筑波山ゼミ) |
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(熱海湾クルーズ) |
(祝配属:12月恒例鍋会) |
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6. 選考方法
- 配属には面談を必須とします。30分程度の面談で,自分の道は自分で切り拓く挑戦をする意欲. 失敗を畏れることなく失敗に学び小さくても成功を積み重ねていくことで価値組の一員となる意欲、現在のスキルや将来計画・展望などについて会話をします。
- 以下の期間に注意してアポイントメントを取って取ってください。
- 下記のカレンダーから面接希望の候補日時(予定ありと表示されている時間枠)を複数選んでメール本文に記入し、
宛先を satoh [AT] slis.tsukuba.ac.jp ,件名を「卒研面接希望:自分の名前」)としてお知らせください。
- 面談期間:10月18日(月)~11月5日(金)の内で予定があったところで面談します。
8.研究リソース
- 文部科学省科研費: 基盤研究(B) 平成25年4月から令和2年3月まで連続獲得
- 競争的資金の獲得実績: 科研費 基盤研究(C), 科研費(挑戦的萌芽研究),国立情報学研究所 戦略的共同研究など多数
9. 過去のゼミ生による学会発表
皆さんの先輩が取り組まれた研究テーマです。卒業研究の1年間は、長いようで短い期間ですが、卒業研究の成果は毎年3月第1週頃に開催される「データ工学と情報マネージメントに関するフォーラム(DEIM20xx)で発表しています。学会発表などとても無理と思って始めた研究でも専門家の前で発表できるまでに成長できます。大学院まで進学すれば、ほぼ、ほぼほぼ国際会議で発表できるレベルまで成長できます。
2020年度
- インターネット情報源からの栄養ロスフリーな調理法の抽出 [DEIM2021, C13-5]
- Twitterミュート機能におけるキーワード拡張手法の提案 [DEIM2021, I13-2]
- 筋電位による食感分類と電気的筋肉刺激を用いたバーチャル食感提示手法に関する研究 [DEIM2021, C25-3]<学生プレゼンテーション賞>
2019年度
- オンライン小説の検索に有効なタグの推薦手法の提案 [DEIM2020, C2-4]
- リプライのポジネガ極性を用いたTwitter炎上の分類手法の提案 [DEIM2020, C7-3]
- 図書館内の書籍探索行動を支援する探索意図を重畳表示する方法の提案 [DEIM2020, D8-4]
- レビュアーの読後感情を用いた小説の感情値算出手法の提案 [DEIM2020, G8-1]
- オンラインショッピングにおける商品探索行動の分析 [IEICE総大, D-4-7]
2018年度
- 最終球への配球推移に基づくキャッチャー成績分析 [DEIM2019, I1-2]
- 調理過程で廃棄されるロス食材を活用したレシピ推薦手法の実装と評価 [DEIM2019, F2-1] <学生プレゼンテーション賞>
- レシピタイトルに頻出するシズルワードの多義性抽出手法と評価 [DEIM2019, F2-2]
- オンラインショッピングにおける商品選択行動のモデル化 「DEIM2019, F7-1]
2017年度
- 可読性に基づいた日本語テキスト情報の特徴量評価 [DEIM2018, C2-1]
- 近傍エッジとの関係に着目したグラフマイニング手法の提案と評価 [DEIM2018, J2-5]
- 文書分類タスクにおけるディープラーニングの学習プロセス可視化手法の提案 [DEIM2018, F3-1]
- 既存レシピの調理手順を用いたアレンジレシピ作成支援システムの提案 [DEIM2018, C4-3]
- クエリ変更とページアクセスに基づくECサイトの商品カテゴリ分析手法の提案 [DEIM2018, D4-2]
- 自転車のふらつき走行に特有の車体挙動検出手法の提案 [DEIM2018, H7-4]
2016年度
- Twitterの複数アカウント所持者を対象とした 投稿アカウント推定手法の提案[DEIM2017. D1-1]
- 被フォロー順序に基づくユーザの役割推定手法の提案[DEIM2017. D1-2]
- 文体の類似度を考慮したオンライン小説推薦手法の提案[DEIM2017. B5-2]
- 読み句の構造に基づく郷土かるた読み句生成手法の提案[DEIM2017. F5-5]
- (知的探求) レビュー順序グラフに基づく購買行動パターンの分析[DEIM2017. A3-4] <学生プレゼンテーション賞>
- (知的探求) レビュー観点の推移パターンに基づく商品属性の抽出手法[DEIM2017. F5-4] <学生プレゼンテーション賞>
2015年度
- プログラマー向けQAサイトにおける質問形式の調査・検討[DEIM2016, B1-3]
- Twitterからの消費者ニーズの抽出手法に関する提案[DEIM2016, B5-1]
- 知識間の語彙出現分布に基づく学習順序推定手法の提案[DEIM2016, G2-2]
2014年度
- ソーシャルメディアにおけるセレンディピティを考慮したユーザ推薦手法の提案 [DEIM2015, B2-6]
- 定番映画の印象ベクトルに基づく映画推薦手法の提案 [DEIM2015,B8-2] <学生プレゼンテーション賞>
- Twitterユーザのソーシャル化支援手法の提案 [DEIM2015, E6-2]
2013年度
- 配信型授業のコミュニケーションを支援するコメント共有手法に関する研究 [DEIM2014, B1-1]
- 多様な検索結果を表示する可視化手法に関する研究 [DEIM2014, E1-2]
- 講義型授業における受講状態推定に関する研究 [DEIM2014, F1-5]
2012年度
- フォロー別フィルタによるツイートフィルタリングに関する研究 [DEIM2013, B1-1]
- 地域度を考慮したメニュー推薦法に関する研究 [DEIM2013, B9-1] <学生プレゼンテーション賞>
- 調理者のレパートリー拡大を可能にする戦略的レシピ推薦法に関する研究 [DEIM2013, D3-1]
- 意見極性の系列に基づくレビュー記事の評価値推定に関する研究 [DEIM2013, D10-1]
2011年度
- 複数の料理を並行調理するための調理手順構成法の研究 [DEIM2012, E8-1]
- マイクロブログにおける実生活に関する記事の抽出法の研究 [DEIM2012, F3-4]
- マイクロブログ記事における人物の呼称表現に関する研究 [DEIM2012, F3-5]
2010年度
- マイクロブログを対象とした話題チャンクの抽出法に関する研究 [DEIM2011, A1-2]
- 属性伝搬モデルを用いたマイクロブログのフォロー先推薦法に関する研究 [DEIM2011, A1-3]
- 質問回答サイトにおける質問タイプの分類に関する研究 [DEIM2011, B5-1]
- 航空写真からのランドマーク抽出手法に関する研究 [DEIM2011, C1-6]
- 文章題解決力向上のためのイメージ化支援に関する研究 [DEIM2011, E4-4]
- オープンナレッジを用いたクエリ拡張法に関する研究 [DEIM2011, F6-3]
2009年度
- 評価視点別の言及度を用いた意見文の分類手法の提案 [DEIM2010, A2-2]
- Webページの階層的な分割手法と提示に関する研究 [DEIM2010, A2-4]
- ユーザのWeb探索履歴におけるキーワード遷移に基づくWeb文書推薦システム [DEIM2010, A3-3]
- キーワード平面を用いたインタラクティブ検索に関する研究 [DEIM2010, B6-2]
2008年度
- モバイル環境における検索結果の一覧性向上に関する研究 [DEIM2009, C2-3]
- 商品説明ページを用いた評判情報からの評価視点抽出に関する研究 [DEIM2009, C6-5]
- コミュニティを視点とする生活者情報記事の視覚化に関する研究 [DEIM2009, E4-4]