図情メディア研究科パンフレット2015
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学生の声16博士後期課程池内有為学生の声 大学図書館員を辞めてから7年のブランクがあり,博士後期レベルの研究ができるか,3人の子育てと両立できるかなど,不安を抱えながらの進学でしたが,恵まれた研究環境や逸村研究室の皆さんのおかげで,楽しく研究者としての経験を積んでいます。研究テーマ 近年,研究成果として論文だけではなく研究に用いたデータを公開し,世界中で共有する動きが自然科学から人文社会科学分野にまで拡がっています。その背景には,データの再利用によって研究コストを下げ地球規模の課題に取り組むことや,結果の検証を可能にして研究不正を防ぐことがあり,さらに市民科学でも盛んに活用されています。各国の政府や国際組織,そして研究図書館がこうした「オープンサイエンス」を支えていますが,解決すべき課題も多数あります。そこで公開のインセンティブになりうるオープンサイエンスの効果を示す研究を進めながら,海外の図書館の動向を講演などで紹介しています。多彩な領域をカバーする大学院 図書館情報メディア研究科の開講科目は人文系から工学系まで多岐にわたります。講義を履修したり教員や院生にアドバイスを求めたりすることで,効率的に幅広い知識や技術を身に付けられます。また,月に数回ワークショップや講演会が開かれるため,最新の研究動向を知ることもできます。自分とは異なる分野の発表でも,問題の立て方,手法,プレゼンのスタイル,英語の質疑応答などが参考になっています。さまざまな研究領域の方からいただく示唆のおかげで,研究の深みや拡がりが増していると感じます。筑波大学の研究環境 筑波大学には生命環境や教育など8つの研究科があるため,図書館の資料も多種多様です。大学のネットワーク経由でデータベースや電子ジャーナル,電子書籍に24時間アクセス可能な上,必要な文献がない場合でもILLサービスで数日中に入手できます。また,情報センターはSPSSなどのソフトウェアを提供しているほか,多数のセミナーを主催しており,MathematicaやIllustratorの使い方をプロの講師から無料で教わることができました。「大学院共通科目」は研究科の垣根を超えて受講できるため,他分野の知り合いも増えています。研究資金と教育活動 筑波大学のエディンバラ大学研究交流や学会の研究助成に応募して,インタビュー調査やデータベースの購入費用にあてています。説得力のある申請書を書こうとするため,研究テーマや計画を見直す機会にもなりました。 また,TAと「図書館サービス概論」「図書館制度・経営論」の非常勤講師をしています。TAで間近に見たベテランの先生の授業運営を参考に,図書館の面白さを的確に伝えられるよう心がけています。“未来の図書館員や社会人に求められる能力や技術は何か”と問いなおすことは,自身の反省にも繋がっています。 研究科のオープンでアカデミックな雰囲気の中で,今後も研鑽したいと思います。国際会議で憧れのChristine Borgman先生に助言をいただくコンケン大学(タイ),国立台湾師範大学と合同開催のInternational Summer School of Informaticsに参加

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