図情メディア研究科パンフレット2015
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25教育研究分野綿抜研究室書誌学的手法を用いた日本文化研究 綿抜研究室での研究は、すでに研究されていないか、先行研究と異なる結果が出せそうであるということを前提とします。標準的研究方法は以下の通りです。①情報の収集→日本の文化に関する情報を集めます。②情報の選別→情報を収集する過程で、大まかな仮説をたて、必要な情報を絞り込みます。③情報の整理・分類・数的処理→大まかな仮説のもとに情報を処理します。④情報の特質等の明確化→処理した結果、どのような特質などがあるか、明確にします。⑤仮説の設定→どうしてそのような特質等があるか、仮説を設定します。⑥仮説の検証→関連する文化情報等をふまえながら、その仮説について検証します。⑦検証結果の知識化→知識化をもって研究成果とします。 一例をあげます。①日本の文化を代表する浮世絵をたくさんみる。②女性を描いたものが多くあり、その女性の着物に着目すると、いろいろな絵柄があり、桜が描かれることが多い気がする(大まかな仮説)。③着物柄に注目して調査し、調査対象とした浮世絵が何点、そのうち女性が描かれたもの何点、着物の絵柄何種類、何柄が何点と数的処理をする。④その結果、桜柄が一番多いことが判明。⑤では何故桜柄が多いのか、その理由を考え、仮説をたてる。⑥関連文献、資料等を調査して検証する。⑦その結果、このような理由で桜柄が多いと結論付け、それを事典の項目になるようにまとめる。 料理書、俳諧書、楽譜といった書籍や雑誌等にみられる文化情報や近江八景に代表される「八景」という文化情報を対象にしている院生もいます。こうした研究を通して、人間社会を見通す能力を身につけてほしいと願っています。2人の女性の着物の柄は何か?この本は何の本か?どこが「草紙洗小町」か?

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