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研究室紹介 (情報循環)36研究室紹介 (情報循環) 芳鐘研究室では、学術・専門情報、つまり論文や特許文献などを対象とする計量書誌学的研究を行っています。例えば、論文や特許の重要性は、もちろん、それらの中味そのものにありますが、それらの書誌情報(標題、著者、出版年などの情報)からも重要な発見が得られます。また、文献同士の引用ネットワークや、文献の著者同士の共著ネットワークを分析することで、個々の文献を見るだけでは分からない、新たな発見が得られることもあります。これまで、以下のような研究を進めてきました。研究者が共同研究者から受ける影響 研究者のデビュー論文に注目し、その論文の共同研究者(多くの場合、指導教員)の過去実績と、研究者のその後の活躍との関連について調べました。その結果、両者の単純な相関は低いが、デビュー後も継続的に論文を発表しているか(一発屋で終わっていないか)どうかという点においては、共同研究者の実績との関連が認められました。共同研究者のノウハウや人脈などに接する機会を得ることは、研究者として論文生産を続ける術を身に付けることに、ある程度繋がるが、活発に活躍できるかは、別の要因の影響も大きいと推測できます。芳鐘研究室学術・専門情報の集合が形づくるネットワークからの知識発見特許の引用ネットワーク 技術系譜のネットワークの中で特許が担う役割や、技術再活用における特許の廃れの速さを、特許分類と引用情報に基づいて調べています。それによって、経済的価値からだけでなく、多角的な視点から特許の重要性を計ることが可能になります。その結果から、短期的に利益を上げるというより、長期的視野のもとで研究開発を活性化させるための示唆(研究機関や国の科学技術政策への示唆)が得られ、また、潜在的に需要のある既存技術の発見と、その分野横断的な利用の促進に役立つ知見が得られると期待できます。法律条文の参照ネットワーク 憲法、民法、刑法などの法律における、条文同士の参照関係をネットワークとして捉え、その構造的特徴の分析を進めています。それによって、中心性の高い重要な条文を明らかにしたり、例えば民法と刑法の構造的な違いを明らかにしたりすることができます。

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