Lanczos法は対称行列に限定した,Krylov部分空間における正規直交基底を求める方法であったが, これを非対称行列に対応させた拡張をLanczos双直交化(Lanczos Biorthogonalization or Two-sided Lanczos method), 非対応行列の正規直交基底を求めるのならばArnoldi法になるのではないかと思うが, そうではなく,双直交系(biorthogonal system)に基づく方法で,Arnoldiとは異なる. ちなみに 双直交系とは,2つのベクトル空間のそれぞれの直交基底が となるような系である(はクロネッカーのデルタでi=jで1,それ以外で0となる). Lanczos双直交化では,以下の2つのKrylov部分空間の正規直交基底を求めていく. 双直交なとのKrylov部分空間の基底ならば,を満たす. Lanzcos法のアルゴリズムより,以下の3項漸化式(three-term recurrence formula)が成り立つ. についても同様に, ここで,であり, はを正規化するためのパラメータである. 双直交化するために,となるようにを定める. つまり, となる.この条件を満たす限り,はどのように定めてもよい. ここでは, とする.また,この定義から以下も成り立つ. これらの式を用いたLanczos双直交化のアルゴリズムは以下となる.
得られたからなる行列 を考える.双直交系なので,である. 今,アルゴリズム中のを使って以下の三重対角行列を定義する. 3項漸化式より, を使って,にまとめると以下となる. この式から, 双直交性からなので, |